熊本へ出かけてきました。
たまたまこの温泉を見つけた九州の友人が、建物の入り口を見てわたしが熱狂しないわけがないと思ったようで。そんなこんなで、このGWにちょいと九州まで行ってきました。
あらやだアタクシったら、もう小津映画の口調。
こんな組み合わせってある?
左足首と右足首を同時に掴まれて動けない。
館内には笠智衆ヒストリー&作品年表、そして夏目漱石の『草枕』にまつわるあれこれが解説されています。
笠智衆さんがお寺の息子なのはなにかで読んで知っていたけれど、東洋大学のインド哲学科に入学していたことは初めて知りました。
そして館内に映画の絵画ポスター拡大版がひとつ、ドーンとあるのですが、作品は『麦秋』。無数にある笠智衆出演作のなかから、『東京物語』ではなく『麦秋』です。
ベストチョイス! わかってる!!! わかってるやーん! 専務(佐野周二)が履いてる異様に派手なボーダー靴下のせいでなにも情報が入ってこない、あのポスターです。
さて。
温泉施設なので写真は撮っていませんが、ここの露天風呂で見るサンセットは最高です。
桃の皮のような薄ピンク色
↓
地獄の血の海のような赤
↓
生ハムのような半透明の肉色ピンク
こんな感じで変化していく地平線の空の色を眺めました。
自分の周りに全裸の女性がいるのが妙な気分で、「アタシたち、人生のいろんな色を見てきたわね」と無言で語り合う地獄の仲間のように感じられてくる。
気のせいですけど。
こういう景色に陽が沈んでいきます。絶景です。
このエリアは『草枕』で主人公の画家が歩いたところで、夏目漱石がかつて旅でやってきた場所。
この道を歩いたであろうと推測されるハイキングコースがあったり、とにかく『草枕』づくし。温泉内のボディ・ソープやシャンプー・ボトルにまで夏目漱石がプリントされていました。
全裸の女性で賑わう空間に "ヒゲ×スーツの憂いおじさんボトル" がたくさん並んでいるのは異様な光景で、どんな新手のセクハラだよ! と笑いが止まりません。
これはきっと「温泉で奔放な女性からモーションかけられちゃったぜ」みたいなことを上品に書いて小説にしたことによるカルマでしょう。那美さんのモデルと世間から推測された女性は、のちにクレームを入れたそうです。(気持ちわかる!)
そんな話を別の場所で聞いたばかりだったので、ニヤニヤしてしまいました。
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