うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか 佐渡島庸平 著

「COTEN RADIO」に著者がゲストで登場されていて、そのときのお話が興味深く、この本を読みました。
前半はわりとよくある自己啓発本のような印象で読んでいたのですが、後半からぐっと引き込まれる展開になって、クリシュナムルティの言葉が引用されていました。


以下は引用の引用なのですが

「彼はこんな人だ」と言わずに、「二月に彼はこんな人だった」と言うことがとても重要です。なぜなら、その年の終わりには、まったく違っているかもしれないからです。
 重要なのは、自分の先入観や固定観念、意見ではなく、いつも溌剌とした心をもって他の人間に会うことです。
(第3章 観察は、いかに歪むか/一期一会の感覚が人生を豊かにする より)

この引用のあとに著者が語っていることがまたよくて、他者に一貫性を求める気持ちが観察を終わらせてしまう、その境界に気づかされます。

 


日々の思考停止ならぬ観察停止の瞬間について、それが起こるきっかけとなる「感情」や「記憶」について掘り下げられていきます。
なかでも、第4章にあった

感情は、意思決定を素早くするための道具でしかない。

と言う指摘は、おおいに膝を打つものでした。
意思決定を急がない時にすら、それ(感情)を漠然と使っている。なんかスマホを触ってる、みたいな感じで、感情を雑にピックアップしたり転がしたりしている。
なんかおかしな買い物をしてしまうときなどは、まさにこれ。

 

なんでこんなに急いで考えを片付けようとしてるんだろう、という頭の状態のことを、わたしはヨガの説明のときに「のび太くんが走っている時に足が車みたいに描かれる感じ」と言ったりするのだけど、別の言い方をするならば、まさにこういうことだよな、ということが軽快な語り口で掘り下げられていました。

 


感情を漠然と利用するのは、たくさんのことを処理するのに脳が疲れないためにある機能なのだと思うのだけど、瞑想中にもそれは起こります。
目を開けた瞑想よりも、目を閉じた瞑想のほうが格段に雑念が多くなるのは、記憶を情報源として再利用しているからなんですよね。