いちばんウケるところで、このへんかってところでピークに達した感じでひとつ、よろしくおねがいします。
あっ、それ以上やるとかえってヒいちゃうんで、このくらいがいいですね。はいこのくらいで。うん、あー、いいですね。やっぱりちょっとメンタルのほうにもヨガは影響あるんだろうねみたいな雰囲気がでてます。ヨガって、ほら、なんていうのか…、アレな感じじゃないですか。だから、やっぱりストイックになっちゃうんだろうなー幻覚とか見てるのかなー自分でこしらえたやつ。みたいな感じがでると、いいですね。
あーーー! あーーー! それはちょっとやりすぎですね。そういう宗教色がでるのはちょっと。ええ。ゲストがコメントしにくくなっちゃうんで。
なんてヨガをテレビで扱うときにはやっていると思うのだけど、ヨガじゃなくてもこの「断食芸人」を読むと芸人サイドの心理を追体験できます。おもしろい。
わたしもたまにクラスでデモンストレーションをするときに、つい「これ女の人がやるとけっこうヒいちゃうヤツなんですけど」なんてエクスキューズのフレーズを入れてしまう。ディレクター役も自分でやってしまうような。でもその感覚がないと、まずいと思っているところがあるのです。
そしてやっぱり、なんだって飽きられるわけなのだけど
ほかの職業につくためには、断食芸人は年をとりすぎていただけでなく、何よりもまず断食にあまりにも熱狂的に没頭していた。
あとで "熱狂的に没頭" のからくりに芸人自らが気づくのだけど、その言葉が重い。
苦しみの結果を見せることで人が寄ってくる原理は日常の中にもたくさんあって、この人はわたしが苦労している姿を見せれば、かまってくれる。みんな、かまってくれる。と思い込んで溺れてしまう感覚には、ある種の熱狂があるよな…。そんなことをちらと思ったことがこれまでに何度もあったので、この物語には納得してしまうところがある。
twitterで刺激的な文字列を並べることに熱狂的に没頭してしまう人と似たものを感じました。
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