うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

聞く力 話す力 インタビュー術入門(14歳の世渡り術) 松原耕二 著


14歳の世渡り術シリーズにすっかりハマってしまい、また読みました。
わたしはテレビや雑誌の対談・インタビューはそこに大きく編集が介在している演出の形だと思っているので、「聞き出す」みたいなところはあまり興味をもって読んでいなかったのですが、「他人に問うこと」の重要性を実例とあわせてグイッと書いている箇所があり、ついつい前のめりになりました。
第1章で、アメリカの9.11のときに「なぜアメリカはこれほど憎まれるのでしょう?」というジャーナリストの問いさえひどいバッシングにあった状況を例に、以下のような語りがあります。

 社会がひとつの方向に流れてしまう危険性。それを食い止めるためにも、勇気を持って問いを立てることはとても重要なのです。

わたしは当時、日本人がアメリカ人とまったく同じ気持ちかのように怒っているのは奇妙といえば奇妙…と思っていたのですが、そんなことはおくびにも出せない雰囲気だったのを覚えています。ここはアメリカじゃないのに。


わたしは平素さまざまなことについて、いまは基本的に「発言しない」ようにして暮らしているのですが、そうしたほうがいい理由もこの本にあり…

たとえ自分で思っていないとしても、問いを発したとたんにそれは自分の意見であるととられるリスクがあるのは確かです。そうなると会話にならず、感情的な反応を引き起こすだけで終わってしまう恐れがあります。
(167ページ 第4章 話をもう一歩、展開させるために より)

わたしはこのリスクが、いまは年々どころか月単位で増していると感じます。この本では「別の言いかた」の提案がされており、実用的。「もし○○かと聞かれたら、どうですか?」っていったん他人からの質問のような文法にするとか、ほんとうに、ちょっとしたことなんですよね。それでも結局、言わないけれど。


アメリカのテレビでめちゃくちゃ矢継ぎ早にインタビューをする人の話が例にありましたが、わたしはそういう人を見ると「この人は編集が介在する演技の量を減らそうとしているのかな」と感じて好感を持ちます。映像の場合はスピード感と共に馴染んでいく情景ほうが、さも "よい関係ができあがった" かのように見せられる丁寧なものよりも人間味を感じます。