海外で病気をしたら、怪我をしたら、どうするのか。考えたことがなかったけど、思いがけず「右手小指の第二関節靭帯裂傷」というわりとしっかりしたケガをして、インドで外科にかかりました。
あとで聞いてみると「赤痢でちょっと入院したことがある」なんて友人も居て、「インドの病院はちゃんとしている。保険に入っていなかったけど、高くなかったし」という話になる。すごく待たされるけど淡々と説明されて、治療が進んでいきました。
ケガの経緯はマヌケなもので、ガンジス川の上流で転んで岩をつかんだつもりが苔でヌルヌルで、小指がポキッとなっていたようで、川からあがったら指がべろーんと曲がっていて気がついた。
いまも腫れたままで、これ以上は痩せないけど、まっすぐにできるようになった。
いまは真っ直ぐになったけど、川から上がったら青い線の形の指になっていた。これには面食らった。突き指おそるべし、です。
このとき一緒にいた日本人の女性が適切な処置(小枝を拾ってきて、ヒモでぐるぐる巻きに固定)をしてくれた。この処置にはお医者さんも「エクセレント! パーフェクト! 誰がやってくれたんだ?」と感心していた。彼女はいまも片方の小指が微妙に外に曲がっていて、子供のころにドッジボールで激しい突き指をしたのだそう。
ケガの直後、わたしは指を曲げているほうがラクだったのだけど、ちゃんと処置しないと伸びなくなるかもしれないからといって、「ちょっと痛くても絶対真っ直ぐで固定!」と。経験者は語る、強い口調で語る、な場面でした。無理矢理まっすぐにしてくれて、ほんと助かった。
病院へは二度行ったのですが、初回は日曜の夕方にかけこみだったので、家から先生が来るのを待つだけでした。2回目はちゃんと診断だったので、ほかの患者さんと同じように受付へ行って待って診断を受けました。
受付の女性と待合室の光景(動画)
薬をもらうときの光景(動画)
わたしは「念のため○○しましょう」というよう高度な英語が理解できない英語力なので、初回の診断で「最悪こうなる」というニュアンスは聞き取れていませんでした。
診療のあとに渡された紙の内容をルームメイトの英国人が説明してくれて「手術が必要になるかも」という状況を理解したのだけど、お医者さんと電子辞書を片手に話すときはものすごく和やかだったので、まったく心配にならなかった。
まずレントゲンを! となって
<診察の話はこんな感じと理解していた>
- 骨折ならまだよかったんだけど、その奥の靭帯をやっちゃってる。これはちょっと時間がかかるよ。
- とにかく、このギプスのうえに包帯で固定をして過ごして、1週間後に見せてね。
- 回復していく段階で4週間くらい、これをつけることになる。前後の動きがないようにね。シャワーのときははずしてもいいよ。
- いまこう(べろーんと外に曲がる)なっちゃってるのは、ここの(第二関節の)靭帯が前に、こうなって(ブロークン)、そうすると第一関節のところは真っ直ぐにしてもらえる力が働かないから、こう曲がっちゃうんだ。
- ここが曲がっちゃうというよりは、ここを真っ直ぐにしておくために、この第二関節の内側の靭帯があるんだよ。
<会話はこんな感じだった>
医者:リガメント、ドゥ・ユ・アンダルスタンド?
うちこ:リガメント、、、(辞書みせる)。ジス?
医者:イエス、ジス、ジス。
うちこ:マイ・ジス・リガメント、フォワード・ベンド?
医者:イエス(笑)
1週間後の診断では、奥のレントゲン室は使わず、「レントゲンセンター」への紹介カードを渡されました。このエリアは病院タウンで、いろいろな科がひとつひとつ立ち並んでいて、レントゲンは共有して「レントゲンセンター」を使うというのが通常のフローのようです。
写真をビニールバッグに入れて渡してくれたものを持って外科へ戻り、診断を受けます。
二度目の診察では、
- もう包帯はせずにギプスだけで過ごし、3週間ではずしていい。
- 蒸れてしまうのはよくないので、指の間にガーゼを入れるように。
- ギプスをはずしてからなにかおかしいと思うことがあったら、また来ればいいよ。
という感じでした。「手術が必要になるかも」とはじめに書かれたわりには「フン、フン」という感じでした。
1週間でだいぶ真っ直ぐになった。
薬はなく、カルシウムの錠剤を処方されました。
2回の診療、レントゲン、カルシウムでトータル5000円くらいだったと記憶しています。
インドの保険事情はよくわかりませんが、日本人が保険なしで行くと、レントゲン1回400ルピー、カルシウム150ルピー、という感じで払っていって、トータルで3000〜4000ルピーくらいになった。
あとで思うと、長く固定しすぎずに自分でリハビリを始めて、生活には支障がないところまで来れたのでよかったかなと思います。
「おかしなことがければもう来なくていい=あとはあなたの動物の勘にまかせる」という雰囲気で「テイク・ケアー。ばいばーい」、とされたのがとてもいいなぁと思いました。「わ、わたしの指は、もとに戻るんでしょうかっ?!」という気分にまったくならない。
ギプスをはずして2ヶ月以上が過ぎ、今でも少し違和感あるのは
- 握りが弱く、ダヌラ・アーサナの右手右足がいまいちしっくりこない。
- プラサリッタ・パドッターナ・アーサナCでインターロックして手を床に近づけるときに痛む。
- 三点倒立からゲンコツと肘で床を押して頭を浮かすときに、小指の関節部が痛む。刺激しないように指を伸ばすとバランスがむずかしい。
- スタミナ切れしてきたときのチャトランガ・ダンダーサナで弱さを感じる。
といったところ。
小学生の頃に走り高跳びで肘を骨折したことがあったけど、靭帯のケガというのはやってみるとすごく身体の考察が深まります。
腹筋とバンダの違いのように、骨と靭帯のはたらきをとらえるようになり、いろいろなアーサナのポイントを学ぶときに靭帯を意識するようになりました。
ちなみに、インド・リシケシの病院はリシケシ・マーケットの「王」の奥のほう(薬局エリアの奥)に点在しています。
この辺まで行って、「○○科の病院はどこ?」とそのへんの人に聞きまくれば、たどり着けます。