うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

スリランカ航空燃料漏れ機体に遭遇 2日目

天候の運や国際紛争の状況などを考えれば想定外のことはたくさんあるのだろうと思うのですが、想定外の中でも種類的に気持ちのやり場が少し難しいのが「燃料漏れ」です。完全じゃないけど「行けるっしょ」という判断も怖いので。
前日の時点では、「燃料漏れの箇所の修正をしています。翌朝出発となります。ひと晩ホテルでお待ちください」という状況でした。その指示通り、朝7時のバスでホテルを出て、7時10分頃に昨日と同じチェックインカウンターに並びました。

が、七時半になっても受付が始まりません。
なんだか嫌な予感がします。やっぱりです。


 なんと再度燃料漏れが発覚。その時間、7時20分。とのこと。


飛行機というのは、出発前に燃料を入れるのが掟なんですって。で、直っているはずの状況で燃料を入れてみたら、また漏れたということなんですね。


 とりあえずその機体は怖いです。


というのが搭乗予定客全員の気持ちなのだけど、そのあとの対応がよくなかった。
前のほうにいた40名くらいしか聞けていないのです。われわれはかなり前のほうにいたので、さまざまな人間模様をここで見ることになります。


登場人物(それぞれの立場)は、こうです。

 ■顧客(うちこを含む)
 ■サービスオーナー(スリランカ航空)
 ■サービス提供協力会社その1(空港)
 ■サービス提供協力会社その2(ホテル日航

なのですが、各立場でキレてしまう人が現われて(「ホテル日航」を除く。ここは、さすがでした)、見ているうちこが「誰がお客さんなのかわからなくなってくる」ほどの大混乱になります。


 どうやら、やっぱり飛べないらしい


まずこの情報が列の後ろに届き始めます。
搭乗予定者の怒りは爆発し、列の後ろから状況説明を求めてカウンターまで進む人が数名。5人はいなかったはずなのですが、この状況に


 空港職員の堪忍袋の緒が限界に……


このへんからものすごい雰囲気になってくる。


さまざまな航空会社の便を扱う空港職員さんが「列を乱さずにお待ちください。順番に対応します。列を乱してカウンターまで来る人に対して、前列のお客様から苦情がきています!」と、そこからいろいろこじれてきました。「ほんの2、3人だろ? ホントにクレームになんてなってんの? あんたおかしいよ」という声をあげる人が出て、顧客側の結束力が高まってしまう展開に。


 あーあーあーあー……


観察は続きます。お客さんの状況はさまざまでした。
わたしたちは航空券しかとっておらず、ホテルも初日だけネットで手配しているので、気楽な旅です。しかもその飛行機の最初の到着地であるリゾートの楽園モルディブが目的地ではなく、そこからさらに2時間飛ぶスリランカへ向かう。
が、ほかの人たちは


 ・結婚式をあげられなくなる展開のカップ
 ・新婚旅行のカップ
 ・若い夫婦の家族旅行(疲れながら子守をする夫婦も)


がちらほら。
なかでも、旅行代理店から「すべてをキャンセルするならば全額戻るが、そうでない場合の遅れ分は戻らない」と言われ、それは一般的な免責役割なんだけど、ヤングカップルの怒りっぷりに疲れてしまった。とくに女子。男子だって泣きたい状況だろうに。



最悪、ここで「はい、おしまい! お金は返すからあとは自分でなんとかしてね」と言われることも想像しながら「タイでもいい?」なんて母と話したりしていました。
この旅自体をやめてしまうことも少し考えたのですが、母がここまで新幹線で来ていることや、3日くらい減ってもそれでもまた1週間休むというのは面倒な調整なことを思うと、もう脱力状態。とにかく静観することにしました。


このものすごい「どうなるんだ!」状況の中、一度事態が鎮火します。
こんな人が現われちゃう。


 今日でビザが切れちゃう。
 今夜を越えると不法滞在状態になる人スリランカ人かどうかはわからない)


日本語を話せるその人のお友達が「コノヒト、ドーナルノ?」って言ってる。
悪いが、ちょっとオイシイですよ。そのネタ、ずるいよ。



そりゃ大変! となりつつも、空港職員もスリランカ航空職員も「いま大変なのは、俺」になってしまっており、冷静さがありません。お客さんたちのほうが冷静に見えました。責任感が自分に火をつけてしまうパターンなのだろうな。みんな、まじめでいい人なんだ。


その後
「確定したことがないのでとりあえずホテルへお戻りください」となり、で9時からホテルへ。まだ掃除が始まっていないホテルの、さっきまでいた部屋へ戻り、ハーフプライマリして待つこと2時間弱。12時少し前にホテルのフロントから「昼食、夕方、朝食券をお渡します」というメッセージが届き、さらに食券をもらうと同時に「15時からレストランで説明会が開かれる」という知らせがありました。



15時。レストランで待たされる。60人くらい。被害者の会ような雰囲気が、どうにもしんどい。
こういうとき、人の気持ちをあおって先導する人ってのが出てくるのをリアルで見て、これはちょっとした学びだった。
そして……
はじまらない。


ホテル日航のスタッフさんから、「いまスリランカ航空から連絡があり、調整していた代替機がキャンセルになったそうです。説明会は16時から行なうので、一時間後にまたお集まりください」とアナウンスされ、部屋へ戻る。



16時。ふたたび集合。
スリランカ航空職員の姿はなく、またホテル日航のスタッフさんが場つなぎをしようとしたら、スリランカ航空から電話がかかってくる。
「あと10分で事務所を出られるそうです。事務所からはここまで車で10分くらいですので、 …… このままお待ちいただいたほうがよいでしょう(苦笑)」




17時10分。職員到着、説明開始。
どうやら免責の関係があるようで、いきなり説明開始。


「まず燃料漏れで飛行機が飛ばず、さらに修理もうまく行かず飛ばなかったことについては、航空会社側としてはキャンセル権を行使したかたちになります。なので、我々はみなさまに対する補償責任も賠償責任もありません」と、スタンスを説明。なるほど。
「ですが、それではみなさまのお気持ちも収まらないでしょうということで、われわれのほうで各航空会社の空席をもらうかたちでいくつかの代替割り振りを行いました」と。
ここで主従関係が変わるのです。


 それはどうもありがとうございます!


と思うべき立場になるんですよ。自分からキャンセルをしないと、こうなる。
航空法っておもしろいよねぇ。
その後、シンガポールを経由するエミレーツ便、ドバイ経由便、翌日の同社便、全日空便への割り振りアナウンス開始。最初のグループは離陸まで2時間を切っている。今すぐ部屋で支度をして、空港へ向かうという。無作為分配。
苗字が違うために便が分かれたカップルも発生した。が、さくっと行く決断をし、「現地でね!」と彼女が先に去っていく。素敵だ。あれ? 彼氏のほうは「同じ便にならないか」と空港職員に話しに行こうとしているぞ。でも彼女、もう荷物まとめに行っちゃったよ……(笑)
ほどなくして荷物をまとめて大きなバックパックを背負った彼女が彼に挨拶をしに来て、立ち去って行った。がんばってー!



さて。
割り振りは続くのだが、旅行会社経由でキャンセルしている人が含まれた状態で調整をしているために、本当に座席が欲しい人をユニーク座席数で処理できていない。
こりゃ大変である。
ほとんどの人はモルディブのリゾートステイ。コロンボから仏像探検をしようとしているようなわれわれは少数派グループだ。



第一便のアナウンスを聞き漏らして最後に回る人とか、みんながいっせいに一人の人のところへ押し寄せるので、スリランカ航空の人の堪忍袋の緒も切れてしまう。切れたくもなるよなぁ。これひとりで対応するって、しんどい仕事だよ。



同じ苗字だったことも幸いし、母娘一緒にANAシンガポール、そこからスリランカ航空でコロンボへ向かう便が割り当てられた。8時にホテルを出て、リムジンバスと空港間バスを乗り継いでチェックイン。
コロンボへは1.5日遅れの到着になったけど、もともと深夜着だったのが昼間につけることになったので、今度行くときはこの乗り継ぎにしようと思う。


非常事態の人間模様。はじめて知った航空法
うちこはバックパックカップルの彼氏のほうと同じ便でした。そしたらシンガポールからバックパック彼女と同じ便に合流することになった。とっとと先に行った彼女が「同じ便だね」って言いながら彼氏の席に会いに来るところまで見ました。面白かった。
それから、ほかの便の空席にいれてもらえることになったという状況なのに、70歳くらいのおじさんが「通路側がいい」などと交渉していました。
逆に、オバチャン団体は明るかった。「ザ・あたしたち・ペース」。これ恥ずかしいと思うよりも、ある意味誇るべきだと思いましたよ。


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