真言宗の修行の解説本です。
梵字というのは一文字に「カンマン」「キリク」などが詰め込まれているので、文字数は少なくても誦えるとなるとものすごく長かったりして、不思議です。
なんで真言? と思う人もいらっしゃるかと思うのですが、ヨガで誦えるサンスクリット語のマントラよりも聞きなれてしっくりいくものがありますね。それは「なんまんだー なんまんだー」だったり、「くわばらくわばら」(これは違うか)だったり。いきなり本場もんのインド発音よりも、より身近に感じられるものをあらためて見てみよう、と思ったのがきっかけです。
子供の頃にドラマの「西遊記」で夏目雅子さんの三蔵法師が「般若心経」を誦えていたり(そのおかげで冒頭だけは覚えています)、お葬式の場面でお経を「さぁ、ご一緒に」みたいなことになってぶつぶつと誦えてみたりした経験から、身近ですしね。
その後、高野山でのお勤めなどを通して、その響きの世界に興味がわいてきた、という経緯です。
この本は修行の内容を紹介する本なので、特に引用するところはありませんが、この本を読みながら興味深かったところをいくつかご紹介します。
第二章の「実習 真言念誦」に、たくさんの神様の2、3行紹介があるのですが、「なるほどぉ」と思うことが多かったです。
・菩薩の原名ボーディサットヴァは・・・
・軍茶利明王の梵名「クンダリー」は蛇がとぐろをまいた形のもので、「甘露の壺」の意。不老長寿の甘露を持つといい・・・
・准胝(じゅんでい)観音の原名「チュンディー」は「清浄」という意味。
仏像を見るとき、軍茶利明王の蛇を見ては「あれ、クンダリーニなんだよなぁ」とか思いながら、いつも不思議な感じがします。
ほかにも、真言の中には、これはヨーガでいう、あれかなぁ・・・と思うもものたくさんあり、たとえば
・阿弥陀如来の真言「おん あみりた ていぜい からうん」の「あみりた」は「アムリタ」かなぁ
・三摩耶戒真言の「おん さんまや さとばん」の「さとばん」は「サットヴァ」かなぁ
・発菩提心真言の「おんぼうじ しった ぼだはだやみ」の「しった」は「シッダ」かなぁ
・不空成就如来の真言「おん あぼぎゃ しっでぃ あく」の「しっでぃ」は「シッディ」かなぁ
などなど。
Om が 阿吽の「吽」であることはよく知られていることですが、こんなふうに密教真言を聞いてみると、とっても不思議。インドから中国を経由して漢語となり、日本語の密教真言となったものが同時に梵字(サンスクリット語)で書かれている。漢字も読めて、ヨガを行じる日本人にとっては、とても不思議な感じがします。
うちこは仏教よりも先にヨガに親しんでから空海さんの歴史に近づいていったのですが、子供の頃から西遊記が大好きだったこともあり、その後のさまざまな発見を通じてあらためて日本史とアジア史を学びなおしているような毎日です。日本史はめちゃくちゃ苦手だったのに!