うちこのヨガ日記

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確実にお金を増やして、自由な私を生きる! 元外資系金融エリートが語る価値あるお金の増やし方  肉乃小路ニクヨ 著

わたしの周囲で人気のかたです。肉乃小路ニクヨさんて知ってます? と教えてもらったのが数年前。

最初に見た Youtube動画で、有吉佐和子さんの小説に出てくる人物が名前の由来だとお話されていました。(わたしはそこから有吉さんの小説にハマりました)

 

本来は経済について教えてくれる人なのですが、よく本や映画が喩えに出てきて、それがいちいち面白いんですよね・・・。そんなこんなでお話を聞いているうちにお金の話に抵抗がなくなり、50代になってからでも遅くないという新NISAをはじめました。

 

その前後に、いろいろ思うことがありました。

資産運用の知識が浅い人向けに商品を勧めてくる人と話す機会があって、その際に、ひとりで落ち着いて判断する知恵が必要でした。

その場面で、「長期運用こそ手数料に注目する」というニクヨさんから得た知識が役立ちました。そのお礼の気持ちで本を買って読みました。

この本は資産運用に関心がなくても、お仕事エッセイとして読めます。

 

 

いろいろ説明がうまい

お金の話を通して、時代によって登場した仕組みや就労概念の説明がされていました。

なかでも以下の部分はすごくわかりやすくて「説明がうまいな~」と唸りました。

 

  • メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用
  • 投資信託のアクティブ運用とパッシブ運用

 

ほかにも、一所懸命と一生懸命の漢字がなにげに使い分けられたりしていて、ふわっとポリシーが見え隠れします。

 

 

20代の頃の話がおもしろい

遅いインターネット回線でもワクワクして毎晩帰宅が楽しみだった、自分の20代を思い出しました。他の人が同じ頃に何をしていたのか教えてもらうのって、興味深いものです。

自室で夜な夜なネットにアクセスし、閉じた空間でも他人と比較することなく世界とつながっていた。リアルの社会では競争に晒され挫折もしながら、ネットの世界でなんとかアンテナを張ってきた。

SNS登場以前からネットを使いこなしてきた人の話は面白いものです。

 

 

未来の読み方が好き

経済に関するニクヨさんのお話のスタンスを心地よく感じる理由が、この本を読むことでわかりました。

個性は強いけど好戦的ではなく、先を読んでいく。

わたしは金融や経済が好きですが、金融業界の中で働く人の仕事は、かなりの部分AIに置き換わるだろうなという予感がしたので、人とのコミュニケーションをしたり、起こっている事象を簡単な言葉で説明したりする仕事に変えていきました。

(おわりに より)

実際わたしは、ニクヨさんがYoutubeで「予備知識がないと手数料の高い商品の契約書にサインをしてしまったりするので・・・」とお話されていたことを覚えていたのが助けになりました。

証券会社と銀行の連携アカウントを作成する際に、限定商品のファンドラップというのを強く勧められたのですが、このネットの時代に手厚い電話のやりとりをアピールポイントとする商品だったんですよね・・・。なのに中身はロボット運用。

常日頃ニクヨさんのスタンスを聞いていたことで、この違和感を自分の中で分解しやすくなっていました。

 

 

クセの強い人の世界の中で磨いてきた「戦いに行かない知恵」が随所に

ニクヨさんはインタビュアーとして登場するときと、ご自身が前面に押し出される場での振る舞いがその違っていて、見ていて勉強になります。

艶っぽい美しさや毒舌のエキスパートは女装タレントの中で出尽くしているし、見る側がそもそも、お金のことならニクヨさん、メイクのことならあの人というふうに入り口を分けています。

こういうバランス感覚(混ざりに行かない、奪いに行かない)の人が語る経済の話って、妙に聴きやすいんですよね。

 

混ざりに行けば見下され、奪いに行けば利用される。

比較されて踏み潰されてぺしゃんこになりながら、心の中ではバブル時代を引きずる年長者たちと距離を取りながら生きてきた人がわたしの周りには多くいます。

そんな中年女性たちが、密かにニクヨさんを慕ってる。

 

  *   *   *

 

わたしはこの本を読むことで、好きなこと・勉強になることを積極的に楽しもうという、健全な消費活動意欲がわいてきました。

タイトルは自己啓発臭が強いけれど、実際の内容は、金利の上がらない日本にいながら世界経済とも接続し、物価上昇の中で資産を守るベースを固めましょう、という堅実なもの。

人生後半を楽しむための考え方、国の政策と労働環境、健康が財産であることを教えてくれます。