これはわたしがヨガでお会いする人からたまに言われるフレーズです。
「うちこさんにも、そういうことがあったんですか」
「うちこさんも、同じ目に遭ったの?!」
これを言われるたびに「もう気にしていないだけで、経験はしたよ」と思っています。
詐欺に遭ったり遭いかけたり、うまく断れなくてコケにされたり見下されたりいじわるされたり利用されたり、「こいつならええやろ」という扱いをされたり。
でね。
こういうことって、そのまま書くといろいろ支障があります。
「その傷つき、待ってました!」とばかりに人が寄ってくる現象とインターネットって、すごく相性がいいんです。
不幸マーケティングをやめたとたんに数字が落ちるスパイラルは特にネットだとアクセスがわかりやすく可視化されるため、本音を語る体裁の人の多くがこの仕組みにハマっていきます。
で、どうするか。
そういう話は物語として書くことにしました。
人間交差点を渡って向こう側へ行こうとすれば、けっこうな確率で遭遇することが当然わたしにも起こります。
人権意識の高まりとともに弱者が承認されやすい世の中になってきたけれど、それに対して、わたしは誰かと一緒になって怒りたくなることもあれば、辟易することもあります。
この境界に興味があります。
わたしは弱者という定義が後付けのように感じるときに、ほのかな疑問を抱きます。
こういうことを、どちらが弱者か定義せずに書きたい。
フィクションのように距離を置けば、それが可能です。