うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

秘密 谷崎潤一郎 著


序盤で、ぐっと引き込まれます。「なぁ君も仲間だろう」と誘われます。

私はもう一度幼年時代の隠れん坊のような気持を経験して見たさに、わざと人の気の附かない下町の曖昧なところに身を隠したのであった。そのお寺の宗旨が「秘密」とか、「禁厭(まじない)」とか、「呪詛」とか云うものに縁の深い真言宗であることも、私の好奇心を誘うて、妄想を育くませるには恰好であった。


ここまでは、「秘密」というタイトルに納得でした。



・・・が。



そのあと出てくる秘密が、「え、そっち? そっちなの?!」という展開。
まあでもそのくらいは、わたしだって十五やハタチの乙女ってわけじゃなし、いちいち驚きませんよ。
「変わったご趣味」も多少は理解できるつもりでいます。が、理解できない角度から来るエゴの変化球。



・・・なんだよこれ



うーん、なんとか自分に置き換えようとしてみる。
たとえばスポーツクラブで、顔を真っ赤にしなければ腕立て伏せをできない運動不足の男性たちと一緒に腕立て伏せをして、実は余裕だったとする。あともう10回くらい、できたのに…と思っていたとする。この小説の状況は、そんな状況と似ている。



・・・でもそこで



 俺、こいつらより全然イケてる(キラーン☆)



という「☆」のような感情は湧かない。湧かないよ!!! 
そっちの方向では、自己評価を上げたりしないよ!!!
周囲のプライドを傷つけていないか、むしろそっちを気にするよ!!!


この作家は、あの手この手でホルモンバランスに揺さぶりをかけてくる。


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秘密
秘密
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(2016-11-29)