旅先で知り合った女性が読書感想ログであげていたのを見て読みました。
徹子さんはものすごいヨギなので、本日の敬称はヨギとなりますことご了承ください。
テレビで観る限りヴァータの象徴のような徹子ヨギ。文章も息継ぎが多いです。句読点が多く、慣れてくるとひっぱられます。宇野千代さんもそうですが(宇野さんもヨギ)、悲しみであったり苦しみであったり、なにか大げさに意味づけをしたくなるような場面で字数を割かないところが魅力です。
向田邦子氏への留守電に徹子ヨギが9件入れたものを向田氏がつないで再生して来客へのもてなしに使用した件など、交友関係もおもしろい。ただイチャついているだけでなく、双方が本領の芸を生かしているのがステキ。
この本は「欠落帖」で、いわゆるイタいエピソードを綴ったものなのですが、「食間に飲む薬」を「食事中に一緒に飲むものと思う」などは、わたしもはじめはそう思っていたので、ああそうかこれも欠落かと思った。
食べ方もヴァータ。
私が物を食べるのが早いのには、よく噛まないから、というのもある。ゆっくり、いつまでの噛んでると、なんだか、おいしくなくなってくるみたいで、私は、なるべく食べ物は、原型のまま、さーっと飲みこんで、あとは、しっかりと胃にまかせる、というのが好きだ。(298ページ)
がんばれストマック。
書く俳句がすごく暗かったり、男性への接し方にはかわいいイタさもある。恋をしているお医者さんに渡す検便にリボンをかけたりして、がんばってる。
自分から好きになったわけではないっぽい男性とのデートのエピソードには、男性の支配欲に敏感な様子が垣間見えたりして、すごくおもしろい。
ものすごくいろいろ細かい支配関係に気がつく人が、それに疲れないように自然にチューニングをしているうちにこうなった。そういう人に見えてきた。

- 作者:徹子, 黒柳
- 発売日: 1993/08/31
- メディア: 文庫