うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

横になる英雄座(スプタ・ヴィーラ・アーサナ)

横になる英雄座
タイトルに記載したポーズの名称は、「ヨーガバイブル」からとりましたが、「ババジと18人のシッダ」には、「跪く安定のポーズ(スプタヴァジュラーサナ Suptavajrasana)」という名称で載っています。
いっけん簡単そうに見えるのですが、「男性よりも女性のほうがすんなりできる」「欧米人よりも日本人のほうがすんなりできる」という要素があったり、伸ばすポイントなども、ほんの少しの心がけで無限の広がりを見せる、万華鏡のようなポーズです。
はじめから完成形までいけない人でも、段階を経て長くこのポーズと付き合って、その万華鏡っぷりを感じていただきたいもの。なので、今日はじっくり書きます。

はじめに書いておきますが、このポーズは男性と女性の股関節の形状の違い、膝の関節の大きさの違い、普段使っている膝への負担のかけ方など、さまざまな要因があるのですが、男性のほうがやりにくいポーズです。
ですので、女性のようにすんなりできなくても、気にしないでください。

右上(携帯で見ると、上)の写真の状態は、できあがりの状態。この状態からあばらの位置を高くするように指示をする教え方もありますが、これも、伸ばすところと刺激されるところが違います。
わたしの師匠の教えでは、なるべくこの状態で背骨を床に近づけていくことで、おなかの前面をより伸ばすことを指示されています。伸びるのはおなかだけではありません。足の甲も伸ばされます。うちこは、このスタイルはとっても日本人向きだと思っています。

「このポーズは、日本人がやったらとっても上手でびっくりした。正座うまいもんね」というのは、師匠のことば。これまでインドやアメリカの人にヨガを教えたときよりも、日本人はこれをサッとできる人が多かったとのことです。
あぐらにしろ正座にしろ、足の甲を伸ばす形で座ること(フレックスと逆の方向)に、日本人は慣れています。誰もが子供のころ、ずっと正座をしていなければいけなくて、いざ立てといわれて「あたたたた」という場面を経験をして育っていますよね。そこで、踵を外に向けて血行の状態をコントロールしてみたり、ひとりムズムズ、ごまかしながら学んでいる。あれが、ヨガではとっても生きてくる。


まず、なんなくできた場合の手順です。3のところで「あいたたた」となった場合は、下に書く段階を参考にしてください。

 1)正座します
 2)かかとを開き、その間にべちゃっとお尻をつけて座ります。
  (いわゆる、女の子座りとか、おばあちゃん座りと呼ばれる「割り座」です)
 3)かかとに手を置きます。
 4)ひじ、頭、背中の順に、上体を床に置いていきます。
  (ここで膝の外側が痛くなったら、迷わず膝を開きましょう。特に、男性)
 5)手をバンザイするように頭上に上げ、肘と肘を持ちます。
  (※注意:腕を枕にするのではありません。頭頂と腕の内側が密着するように)


まず、形はここまででできました。このポーズは、こっからがさらに奥深いのです。

 (つづき)
 6)痛くなければ、ひざ同士を近づけます。もっといければ内腿も寄せ、骨盤を狭くしていくようなイメージで。
 7)手の指を這わせて、さらに頭頂と腕の内側が密着するようにします。
 8)首を胴体からニョキッと引き離すような感じで、長くし、頭頂で腕の内側を軽く押している感じまでもっていきます。
 9)あごは引きすぎず、上げすぎず、首のまっすぐさ加減に任せます。
 10)おへそのちょっと上の裏側にある背骨を、深く呼吸をしながら床へ近づけていきます。
 11)10のとき、おでこに力を抜くと、7〜9までのところと連動して、脇がさらに伸びてきます。
 12)この段階で、足の甲も「伸びている感じ」を意識します。感じだけでいいです。
 13)この状態で膝を床に沈めていくような感覚が持てると、さらによい。
 14)頭頂と膝は上下に引っ張り合い、上に反りたがる背骨を床に沈めていく状態で、深く呼吸をします。


とまあ、書き出すときりがないわけです。
このポーズについては、レッスンの間、いつもすべてを言えるわけではありません。古舘伊知郎さんのプロレス実況並みのスピードで話さないといけません。(なるべくゆったり喋っているように見せかけつつ、たまにやってますが)
「いまから私が一方的にいろいろ言いますけれども、全部は感じられなくていいですからね。お、今日これきもちいいわ、と感じたとこだけ、つまみ食いしてください」みたいな感じで話します。

このポーズのいちばんの伸びどころは「太腿の前面」と、どの本にも書いてありますが、わたし的には「足の甲」も強く売りにしたいポイントであります。なので、「痛くなければ、つま先はなるべく後ろに向けて、かつ、かかとはお尻に近く、コンパクトな座り方で」と言ってしまいます。うるさいですよね、すみませんねぇ(笑)。


ここまでが、ついこのポーズについてはいろいろ言ってしまいがちな、個人的な熱い想いです。


さて、このポーズ、そんなに簡単ではありません。いきなりできなくてもいいです。
そんなときは、


片脚からでもいいし、


背中が床につかなくても、膝から太腿にかけて伸ばすところから、地道に進んでいきましょう。
この状態であごを上げてもよいですが、お尻が浮いてしまうくらいなら、あごは上げないほうがいいです。


ちなみに、「ババジと18人のシッダ」に載っているやり方では、手はこのように置くようです。

これは、このポーズを3年くらいやってから気づいたポイントで、知ってて損はないんじゃないかな、という気持ちで加えています。なんとなく自分で感じていて、それを人に言われて「あ、やっぱり」という気づきはとってもよい相乗効果なので、なるべく加えるようにしています。

が、あんまり細かいことにとらわれすぎて算数のようにヨガをするのは楽しくありません。
わたしの場合は職業柄による癖がヨガに出ているだけなので、「わたしにはわからないわぁ」などと思わなくてもよいですよ。思わなくても、続けていれば、勝手に身体が教えてくれます。