JR大井町、JR西大井、都営浅草線・馬込駅の中間くらいの場所にある蘇峰公園へ出かけてきました。
先日行った小泉八雲熊本旧居に熊本の偉人人脈マップのようなものがあり、その真ん中にドーンと徳富ブラザーズが。熊本の徳富記念館はまだ復旧作業中で来年再オープンとのことで行けなかったので、東京の旧宅へ行ってみることにしました。
弟さん(徳富蘆花)の旧宅に入れる蘆花恒春園へ行ったら楽しかったので、こりゃ兄さんの家はもっと楽しかろうと、そういうわけです。
この蘆花恒春園へ一緒に行った友人と出かけてきました。
この友人は名作をたくさん読んでいて、何を聞いてもなんか知ってて頼もしい。
この日も記念館の人が説明してくださるいろんなことに反応していて、一緒にいてくれて助かりました。(わたしはここ10年くらいで少しずつ本を読むようになったので、解説にはちょっと気後れしてしまうのです)
蘇峰公園
記念館のある蘇峰公園は、ここは穴場じゃないか! と思うほど美しくコンパクトな公園。緑が濃く、すてきな場所でした。
しかも大森駅からここへ向かうジャーマン通りがまたいい感じで、なんとなく入ってみたくなる飲食店が並んでいました。
ここが公園の入り口です。なんだかリッチな雰囲気でしょ。
季節の花が咲いています。
カタルパの木がありました。熊本の徳富記念館もカタルパの花が美しく咲くと熊本で聞いていたのですが、ここにもありました。
ヤングはもちろん、中年・壮年のデートスポットにおすすめです。
山王草堂記念館
この公園の中に記念館があります。
じゃん。
偉大なる徳富蘇峰様。
なんだけど、この銅像を眼の前にして、わたしの頭の中で自動的に『女のみち』という曲が流れてきました。やばいバグりかた。二度としないわ。恋なんか。
それにしても、なんでこの時期の姿を銅像にしたのだろう。
写真を見る限り
ダンディな印象だったのだけど。髪型の威力ってすごい。
この記念館ではいつもちょっとした企画展示をしているようで、文豪の直筆原稿を見ることができるコーナーがありました。
斎藤茂吉。おしゃれな字! フォントサイズのセルフ・コントロールも、すごいデザイン性。
世田谷文学館で見た、息子の北杜夫へ宛てた手紙のイメージと全然違う。
与謝野晶子。読みやすく隙間が多く、力は抜けているけれどもスピードの速そうな字です。
徳富蘇峰旧居
記念館の中には徳富蘇峰旧居の一部があり、私塾のようなお部屋を見ることができます。
この日はたまたま解説のかたがいらっしゃる日だったので、近くで見せてもらうことができました。
さまざまな解説を聞くことができ、大収穫。
徳富蘇峰が行ってきたことや著作の多さ、その後戦争を機に変わっていく日本、そして加齢とともに右傾化したり頑固になっていくこと、家庭人としての徳富蘇峰の進んだ考え方など、どの一面を取っても途中で「さっきのところからここまでを、もうちょっと分解して説明してもらえませんか」と思うほどの濃度。
わたしは4月に島崎藤村の『春』を読んだばかりで、『春』という小説の中に、島崎藤村の友人・陶山君(山路愛山という人がモデル)が出てきたのですが、その人の先輩として徳富蘇峰の存在がありました。
もともとジャーナリストと言われる人や評論家の存在には疎かったのですが、たまたま名前を連続して目耳にする機会があり、ここまで来てみました。
この記念館でその人柄についても知ることができ、興味深いエピソードを聞くことができました。ご自身が意思を持ってまとめた出版物に対して「わたしはそれを実際に見てきた生き証人が、こうじゃない!」と感情的になる年長者から訂正を指示されて対応をしたけれど、対応しつつも「あの人たちは、それでも先に死ぬ人たち」というスタンスで日本の未来を見ていて、のちに再出版する際には訂正前の編集で出していること。
このお話を伺いながら、前に読んだ津村記久子さんの小説の題名『君は永遠にそいつらより若い』をふと思い出しました。
▼こちらです。初夏のお散歩にオススメのスポットです