うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

セタブン大コレクション展 パート1/ 世田谷文学館(東京都世田谷区)

世田谷文学館で開催されているコレクション展へ行ってきました。
企画展をやっていない期間なので、週末でもゆっくりじっくり楽しむことができました。

メインの目的は、ズバリこれ。

 


  宇野千代 富本一枝あて書簡 昭和8年5月2日

 


宇野千代さんが36歳の時に、東郷青児さんとうまくいかなくなってきて心に色がなくなり「わたしはなんだか仙人になっているみたい」というようなことを書いている。36歳の乙女の文章。
この感じ、たまらんね……と、長い自粛で仙人のようになってしまったとボヤく友人とその痛みを分かち合いました。

そのほかにもおもしろい展示がたくさんあり、わたしのなかで強く印象に残ったベスト3はこれです。

 

ムットーニのからくり人形「漂流者」

ムットーニこと武藤政彦さんが制作された、ものすごくおもしろいからくり朗読立体絵本のような、なんというのだこれは! という作品。
1時間に1回上映され、ひと作品7分くらいなのですが、あまりのおもしろさに2回観ました。
夏目漱石「漂流者」(「夢十夜」の第七夜)の朗読とともに、その世界がからくりボックスの中で展開されます。
夏目漱石のあの独特の文章のリズムと、からくり人形の位置が下がっていくスピードが完璧だったり、ちょっと文章では言い表せなような世界。
あまりに素晴らしいので、作品を読んだことのある人はぜひ!

 

 

北杜夫から夫人へのメモ

「どくとるマンボウ」にかつてはまったという友人が横でいろいろ教えてくれたのですが、4年ごとに大きな波が来る躁鬱病を実録するかのような家庭内のメモが展示されていました。
言葉のDVみたいなメモ(これがなかなか)と、「もう 今日から 少し おとなしくなりま。」なんてシュンとしたメモが陳列されています。珍列って感じ。なんかすごいのです。

 

 

斎藤茂吉から北杜夫(斎藤宗吉)への指図の手紙

わたしは「えー! 北杜夫って斎藤茂吉の息子なの?!」というくらい何も知らなかったのですが、北杜夫さんの名前はなだいなださんのエッセイで知っていて、斎藤茂吉は教科書で名前を刷り込まれたくらい有名なので(「さん」をつけないくらいの偉人のイメージ)、親子と知って驚きました。
しかも二人とも精神科医。どんな親子よ。
そして、父が息子へ「大至急一人暮らしの物件を借りなさい」みたいな指示を出していて、大至急の文字の横に丸が打たれていて、「俺のいう通りにしろ!」って感じがすごい。

 


なんか家庭内の様子を丸ごと見せられちゃったような感じでしたが、ほかにも「昔から丸文字の人っていたんじゃないのー!!! しかも文豪」とか、昔は原稿用紙や便箋に「三越製」「松屋製」があったりして、書くことが高尚な行為であった時代を感じる。
森鴎外は娘から「パッパ」と呼ばれ、自分も書く時には「ではパッパが守るから安心して泣かないでね」とデレデレの手紙を娘に向けて書いています。


昔の日本のセレブたちの生活が垣間見える、楽しい展示。
これ楽しんじゃっていいんだろうか・・・というくらい。
パート1は今月末までで、パート2は4月にスタートするみたいです。
パート2では遠藤周作さんの直筆ノートや、成瀬巳喜男監督作品「浮雲」(原作:林芙美子)の撮影台本のほか、北杜夫さんの「どくとるマンボウ航海記」原稿が観られるようなので楽しみに待ちたいと思います。

 

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