尾崎士郎記念館へ行ってきました。蘇峰公園から徒歩1分のところにあります。
たまたま内部を公開している日だったので、中へ入ることができました。
落ち着く室内
昭和29年から39年まで住まわれていた旧居を復元したそうです。
ここは再婚した奥様との邸宅。初婚のお相手・宇野千代さんとは馬込(同じエリア)の別の場所に住んでいたそうです。
宇野千代さんと尾崎士郎氏が結婚してこの辺りに住んでいた頃に、いわゆる文豪パリピ世界(←わたしの雑な要約ですよ!)のムードがこの辺りに醸成され、馬込文士村と呼ばれたとのこと。
一緒にいた友人も猛烈な宇野千代ファンだったので「尾崎士郎って、2回目(の結婚)の人だよね」「あの、受賞したあとの会で好きになっちゃった人」「画家はそのあとだよね」「そう、その人は3回目の人」などと話しながら中へ入りました。
記念館のかたに「実は尾崎士郎の本を読んだことがなく、不純な動機で来ております」と最初にカミングアウトしておいたのですが、「どうぞどうぞ。そりゃ宇野千代さんは人気ですから」とウェルカムしてくださいました。
読みやすい上に、デザイン的にも素敵な字! 名前の文字列が猛烈にいいですね。「尾」も「崎」も「士」もいい! 「尾」のかわいさがヤバい。
作家・坂口安吾との交流
坂口安吾との交流が書かれた文章や、サイン入りの献本が展示されていました。
坂口安吾関連グッズにきゃーっとなっていたら、もう一人、「わたしも坂口安吾が大好きなんですぅ」という女性が会場にいらして、やっぱり坂口安吾はモテてる。
尾崎士郎先生、と書かれています。
岡本太郎さんの装丁!
尾崎士郎は「坂口安吾さん」と書いています。年齢は尾崎士郎のほうが8歳年上なんですね。
中川一政さんの挿画
客間の外の庭から見えるように、挿画・装丁を見られる展示がありました。
わたしは中川一政さんの絵を見るとすぐに向田邦子ドラマのエンディングが思い浮かぶのですが、尾崎士郎の代表作となった『人生劇場』は中川さんからの斡旋で竹村書房から刊行され、それを川端康成が絶賛してベストセラーになったそうです。
書斎
書斎の本を見始めたら、なんじゃこの本は! と思うようなものもあったりして、目が釘付けになりました。
ヘルマン・ヘッセも並んでいました。「酒」の聖典って! あと、相撲が好きだったそうで、記念館にふんどし姿の写真がいくつもありました。
「ドクトル・ジバゴ」と「太閤記」の間に「非行少年」。そして字体がかっこいい「硫黄島」。
こういう少年みたいなところに宇野千代さんは惹かれたのかな。この二人が恋におちて別れるまでのあれこれはすべて本で読んで知っていたけれど、こうして尾崎士郎の世界を単体で見てみると、千代さんの持つ華とセンスの強度に対して、マニアックに掘りたたい尾崎士郎というギャップを感じます。
頭が良さそうに見える背景だったので、写真を撮ってもらいました。
この美しい中庭から、ガラス越しに展示を見ることができます。
毎月第一土曜日に行くと中へ入ることができます。
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