一年で最も暑い時期のコルカタ観光は日に当たらない工夫が必要です。昼間は多くの時間を博物館で過ごしていました。
ネルー子供博物館(Nehru Children’s Museum)
ネルー子供博物館の入り口(チョーロンギー通り)は建物の前までバイクタクシーでは入れないらしく、近くの交差点でUberさんが「入り口はあそこだよ」と指差しながら降ろしてくれました。
子供向けの博物館ですが、インドの物語をよく知らない外国人には「ラーマーヤナ」「マハーバーラタ」の世界をヴィジュアルとともに感じられる、おすすめスポットです。
「ガネーシャはアイドル」のコーナー in ネルー子供博物館
ガネーシャはなぜアイドルなのか、ガネーシャはどこまでアイドルなのかが、無数のフィギュアの陳列とともに解説されています。
ガネーシャが象徴として示すものの解説もありました。
- 目が小さいのは集中力の象徴
- 耳が大きいのはよりよく聴くことの象徴
- 口が小さいのは少なく話すことの象徴
- 胃が大きいのは人生の良いことも悪いことも全て消化できちゃうことの象徴
- 手にしたロープは高い目標を近くに引き寄せられることの象徴
などなどの解説がありつつの・・・
うん。ガネーシャも行ってるんだから、ボクも学校へ行こう! って思う
(だろうか)
うん。ボク頑張る! って思う
(だろうか)
というのが延々続きます。ものすごい数のフィギュアがそこにあります。
もうお腹いっぱいなのですが、こんな小さな胃袋ではガネーシャになれません。
人生の良いことも悪いことも全て消化するガネーシャ様の偉大さを思い知りました。
「ラーマーヤナ」のコーナー in ネルー子供博物館
細かい刻みで「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」の場面を作り込んだフィギュアで見ることができます。
どちらもものすごい量だったので、有名な部分(あるいは重要視している部分)をご紹介します。
ひどい。
これは・・・
ラーヴァナがシーターを拉致する場面。
ふわわ〜
めっちゃ普通に猿。
肘と膝の関節のゆるみの角度がすばらしいです。
これは海をひとっ飛びする、孫悟空のモデルになったハヌマーンだけど、そもそも猿な感じが強調されていて良かったです。
薬草、持ってきたどー
と、ヒマラヤから海を渡って薬草の生えている山ごと持ってくる場面。
この頃にはベースの猿っぽさがだいぶなくなっています。
構図がナイス。
貞操を疑われたシーターがドナドナ状態で山へ追放される場面と、その間のラーマの様子も作られていて(男同士でそこを悩みとしてシリアス風情で語ってる場合か! と思うあの場面)、まあとにかく最後まで細かい刻みでした。
追い出されるシーター。この時すでに子供を宿していて、森でシングルマザー状態になるの。しかも、双子。いくら付き人をつけてもらえているとはいえ、ひどい話よねぇ。
「マハーバーラタ」のコーナー in ネルー子供博物館
もともと、戦いの場面が多い話です。
股を裂き、というところで股を裂くこのとの再現度。
それを、こうする心意気。
はやくスプタ・パーダングシュターサナやれよー。やれよぉぉぉー。
というパワハラに見える。
いろんな場面の再現度と、この心意気。
バガヴァッド・ギーターの表紙になったりする有名な場面
・・・などなどのことが、めっちゃ細かい刻みで作り込んだフィギュアで展開されています。
こんな立体絵本回廊が延々続くの、夢の空間です。
おすすめです。
インド博物館(Indian Museum)
ネルー子供博物館の近くの交差点からバスで行けます。
その辺の人に聞けばみんな行き方を知っているので大丈夫。(この辺の博物館は同じ日にセットで廻る人が多いみたい)
行ってみたらインド博物館は考古学博物館といったような場所で、人類の進化の歴史を扱う科学博物館のような展示もありました。
わたしが興味深くみたのはコインの展示で、ヨーロッパの他国に統治されていた時代のコインと、それ以前のコインではモチーフにされているものが違います。
木や自然がモチーフになっていて形もユルかったほっこりコインの時代から、いきなり西洋人の横顔がどーんと彫られたコインの時代になっていく。それも、いろんな国の。
なかなかエグい現実を具体的な流通物質を通して追っていくのが興味深かったです。
内部はカメラ持ち込み料を支払わないと撮影できないので、庭園というか、空間の写真だけ。
ここは各部屋を巡ると名探偵ホームズのアニメ(犬のやつ)の世界にいるような気分になれます。保管する棚とか調度品とか階段の幅とか、細かさとスケールのギャップに歴史を感じる時間でした。
この博物館は1814年設立。日本では葛飾北斎の『富嶽三十六景』が描かれた時代です。
昭和の終戦後までインドがイギリスだったと思うと、独立運動がどれだけ長年に及ぶ意志のリレーだったが見えてくると同時に、200年支配するってすごすぎないかとつくづく思います。
コルカタは日本でいうと京都みたいな感じなので、行くところは際限なくあります。