空港の書店はおもしろい。スペースが限られているなか、その場で色濃く出るニーズが露骨に反映されている。神戸空港の書店は敷地面積が小さい。空港書店の二大傾向は「行け!飛べ!と行動の背中を押してくる本」or「時間つぶしをしやすい本」。後者はいま映画化されていたりドラマ化されている小説。前者はこのシャネルの本のような、とにかくおっくうがる怠惰なモードを切り捨ててくれる本。まさに行け!飛べ!な内容。
空港で目にした「ココ・シャネルの言葉」にあった「『過剰』は美しくない」という言葉が妙に刺さって、帰ってから同じ人の書いた「ココ・シャネルという生き方」も読みました。同じ人がまとめているので内容が似ているのですが、第一次世界大戦と第二次世界大戦と世界大恐慌を経験したシャネルの、それぞれの時代での考え方や身の立て方の変化が印象的でした。
まーそれにしても、想像以上にモテまくりです。モテにモテて稼ぎに稼ぐので、その仕事量についていけません。恋人の服を借りて着てみてはアイデアを得ていたという話が好きです。そして、女友達は一人居ればいい。たいがいつまらない。という考えも、当時はそりゃそうだったであろうと思い「正直!」と拍手したくなりました。
だって仕事によって自由を得た女友達同士でキャッキャできることは、すごく楽しい。シャネルの時代はこれを女性同士ではできないくらい、女性が仕事を持っていない。就職先として「男性」を視野に入れる時代。シャネルはその考えしかない女性をかなり手厳しく扱っている。
シャネルの表現は、ちょっとおもしろい。
そもそも膝を出すのは下品。膝は関節。見せるものではない
これが妙にツボに入ってしまって…。ここでわたしの心の関節がはずれました。
シャネルが70歳で復職して87歳の死ぬ直前まで働いていたことも知りませんでした。そして隠居を「退屈でうんざり」と言っているところも、なんだかかわいらしいのです。シャネルは強気で傲慢な女性として捉えられることが多いらしいのですが、わたしにはとても謙虚な人に見えます。
「よい体臭の人なんていない」「そのままでいいなんていう考えは、自分を過大評価していて図々しい」というのがシャネルの意見でした。
(「ココ・シャネルの言葉」31ページ)
そう、このままでいいなんて傲慢。
わたくし実は10月くらいからひっそりコスメブームが到来しておりまして、けっこういろいろ買ったり掘り出したりして遊んでいます。そのなかに、いただきもので使っていない香水もある。なんか香水って、照れるんですよね。なんでだろ…。
見た目に対して雑になることへの罪悪感は以前よりも持つようになってきていましたが、この二冊で往復ビンタを受けた気分。
エレガントなおしゃれを楽しもう。社交は苦手だけど、エレガントなおしゃれをしてムーディーな喫茶店へ行って、コーヒーを飲むぞ。わたしの場合は、まずはそこから。