もとは英語で出ている「You Can Win」を「大富豪インド人のビリオネア思考」著者のサチン・チョードリーさんが監修した自己啓発書。
元の本が276万部売れているとあるのだけどアマゾンの英語版でのレビューが21件。リアルの書店で売れているのかしら。監修者が時給70万円稼ぐ、その人をメンターと仰ぐ与沢翼さんが秒速で1億円稼ぐというもんだから、つい計算しちゃう。
わたしは地方へ行く前や判断の多い仕事に取り組むとき、こういう大仰な本を読んだりします。
この本は「老犬に新しい芸を仕込め!」なんていう小トピックがあったりして、なんかちょっとおもしろいです。「老犬に新しい芸は仕込めない」という古い格言があるらしくて、わたしたちは人間でしょ、と。
後半は意識の話になって、
無意識は「体験」と「想像」が区別できない
なんてトピックもあって、意識や認識の話をよくするインド人ならではの内容。
以下はわたしが付箋を貼った箇所の引用ですが、まるでギーターの現代版応用編といった具合。
- ネガティブでいることにあまりに馴染んでしまうと、より良い変化であっても、受け入れたくないときがある。「ネガティブでい続けることの快適さ」を選んでしまうのだ。(P43)
- 人の人格というものは、どんな人々と付き合っているかだけでなく、どんな人との付き合いを避けているかでも判断できる。(P144)
- 注意すべきことがある。それは忍耐と怠惰は区別しなければならないことだ。人は、まったくの怠惰であるのに、自分は忍耐強いと考えてしまうことがあるからだ。(P154)
- 世の中の五○パーセントの人間は、問題があっても気にしないが、残り五○パーセントの人間は、問題があることを喜んでいる。(P171)
わりと性悪説ベース。これだいじよね。
この本は、終盤の意識や認識についての言い切りがたいへんヨガっぽい。
- 態度とは思考や思考パターンの習慣であり、それが行動へと反映される。習慣が心の状態を左右し、私たちの反応に影響を与えているのだ。(P214)
- テレビは、私たちの道徳観や思考や文化に、すさまじい影響力を持っている。今では、ほとんどの価値観がメディアに起因している。(P218)
- 意識は考え、判断し、従うべき指令を無意識に出す。こうして見ると、意識が主人となり、無意識が使用人となる。考える担当は意識なのだから、無意識がポジティブな状態でいられるよう責任を持っているのは、意識である。(P220)
「ほとんどの価値観がメディアに起因している」というのは、残念なくらいそう思う。
そして最後のほうにあるこれも気になりました。
- 自己暗示は、自分が流暢に話せる言語でのみ行う。(P233)
わたしはインド人の先生に「君が理解したかどうかは、君が母国語で同じ言語を使う人に伝えることができたかで証明される」と言われて以来、すごくこういうことを気にするようになりました。脳内の思考を偏りのないアウトプットになるまで何度も濾過する作業で「これはなにかの受け売りでは?」という自己批判的なチェックを入れる癖ができると、精神は安定する気がします。
ただアゲるだけではなく「気をつけろ」って感じなのがよいです。