この冬、一時的に滞在していた土地でよくいくようになったカフェのオーナーが、「ガンダムをヨガ漫画だと言う人がAKIRAを読むとどういう感想になるのかぜひ聞きたいので、無理してでも読んで欲しい」といって6冊ドーンと手渡してくれました。その土地にはあと2日半しかいないよ、というときに(笑)。
でね、けっこう無理して駆け足で読みました。6巻。
ネタバレな書き方を避けられない内容の感想になるので、いつか読もうと思っていた人はこの先は読まないほうがいいです。
先にまとめの感想を言ってしまうと、「3巻までがクンダリニーの話で、つなぎにタオが入って以降がヴェーダーンタ」という流れで、なんというか、ヨガの福袋みたいな構成です。インド六派哲学の主要な要素が全部入っている。
1・2巻は、クールで小粋です。
ジャンキー vs. 健康優良不良少年の戦い、だからね。
「一応 礼は 言っておこう……」
「そうやって無理するからおじさんになっちゃうんだぜ」
なんてセリフのとことか、いいじゃないですか。
不思議な力というテーマが最初から本題になったタイトルのマンガなので、
私達が選択 出来る未来も あるはずよ……
というキヨコさんの言葉のように戦争マンガとして展開していくのだけど、1・2巻は「それってLSDのあの感覚になれるの?」という目的でのヨガ、というようなものを想起させる。60年代後半のヨガね。
なんだけど、
「起きたとはいっても…… 目を開いているだけで何も見えてはいないんだ……」
「だから 目を醒ます前に見つけたいんだ」
というところは「単なる器官のはたらきとそれに感覚をつなぐこと」をいったん分けて見るような、サーンキヤ学派っぽい流れになる。
で、そのあと
○○様が欲しいとおっしゃっているのは勇気と忠誠心だ
というところで、思いっきりバガヴァッド・ギーターなモードにドライブがかかる。
このあとに、この全巻の肝になるシーンがくる。鉄雄とミヤコ様のシーン。
遠方を見るとき 人間はどうする
目を細めるではないか……
もっと大きなものを見るときはどうする
目を開いておっては見えはせぬ
ここは思いっきり「ヨガのみなさーん、あなたたちの大好きな展開ですよ!」となる。
で、この漫画のすごいところは、このあとにタオなセリフがくるところ。
高きより低きへ 密より疎へ…… 拡散し……
(以下略)
ここでグッと締まる。
このあとは、
真に「力」を解き放つには
欲望に身をゆだねず 己の弱さを克服し 己をコントロールする事じゃ
と、スター・ウォーズのエピソード3のようになっていき、ギーターの2章な感じになる。
この本をまとめて貸してくれたカフェのオーナーが、わたしのブログを読んでいるおかしな人であったのと、どこまでも個人的な感想を求められているのだろうなと思ったので書いてみました。
普段はやらない「漫画のイッキ読み」というのをやってみて、慣れない疲労感とともに「律儀なことが、意外とできるではないか、わし」という達成感に包まれた年の瀬になりました。