昨日の「からだ編」に続いて、今日は呼吸と食事編。沖先生のほかの本と同様に、さまざまなアーサナや呼吸法も紹介されているのですが、この本では特に「日光食」について書かれていたのが興味深かったです。
この本を読みながら、「日光から季節の栄養を摂る」ということについて、ちょっと考えさせられました。
ではでは紹介いきます。
<114ページ 呼吸こそ心身コントロールの鍵である より>
食物の栄養を研究している人は多いが、呼吸の栄養について研究している人の少ないのはどうしたわけだろう。私は、アメリカのエール大学のバハンナン教授が、ヨガの呼吸法と、普通の呼吸法との比較お発表しているのを読んだことがあるが、ヨガの呼吸法の方がおどろくほど多くの酸素を吸入していた。ヨガの呼吸法のなかにもいろいろ種類があるが、酸素の摂取量からいうと
ヨガムドラ 三五パーセント
ウヂャイ 二五パーセント
カパラバテイ 一二パーセント
バストリカ 九パーセント
の順で、普通の深呼吸より多くの酸素を摂取していた。
下半身の穴からもらさずに、ゆっくりしみこませるように酸素をとるのが、いいみたい。
<116ページ 呼吸によるこころの変え方と読みとり方 より>
呼吸で他人のこころを読みとることは、顔色や姿勢で読みとるよりずっと正確である。無意識でやっている呼吸のリズムは隠すことがむずかしいが、顔色や姿勢は、人によって違うし、すぐウソをつかせやすいからである。
これは、ほんとうにそう思います。なので隣に座っている人のおなかとか、つい見ちゃう。「なんですか! ああ、乗ってますよ(ベルトに肉が)」と急に言われると、「あ、見てたのはそういう意味じゃない」とオロオロしちゃう(笑)。
<118ページ 呼吸によるこころの変え方と読みとり方 より>
相手の気をひくには、相手より極端に長いか短いか、強いか弱いかの呼吸をするのである。相手が自分より極端に違った呼吸をしていると、無意識に呼吸をとめて注目したくなる。話しじょうずの人は、この呼吸をよく心得ている。話し中にあいての呼吸のリズムを変えさせるために、笑わせたり、泣かせたり、静かに考えさせたりなどしてたいくつさせないようにしている。
たいくつを感じるのは力のぬけた同じ呼吸のリズムがつづいているからなのであるから、いろいろ違った刺激を自分に与えるか、もしくはそのような環境に自発的にはいり込むのがよい。
これは、説得系のお話やプレゼンの場で、とても役に立つ技術です。
<142ページ プラナ(生命力)は他人に与えることができる より>
プラーナヤーマを行っている人は、自分の異常を自分でなおせるのみならず、自分のプラナを人に与えて病気をなおすことができる。プラーナヤーマ熟達者は、クムバク法によってプラナを自由に蓄積することができるので、プラナを他人に与えても自己のプラナが減少することはないのである。それどころか、他人にプラナを与えれば与えるほど、プラナをさらに豊かに自分の内にうけとることができる。
夏の自転車耐久レースで一緒にリレーをつないだ元同僚のケンタロウ君に、レースの合間に少し手当て(整体)をしたことがあります。「ものすごく手があったかい! なんだこれ」と言われて数回行なったのですが、減少手前までにしておきました。その後も「もっと〜」「またお願い〜」という感じだったのですが、こちらも自転車の方で消耗が出始めてできなかった。
そのあと「あのとき、あんなにほぐれたのはなんで? あれはなに?」と聞かれたのだけど、「受ける側のほうの気持ちが解放されていたからだよ」という話をしました。
<162ページ 断食の自己療法 より>
私は、ヨガの断食を、一昨年(昭和37年)六五日やってみた。しかしへたなやり方をすれば数日で死ぬことさえある。恐怖心などで脳波が乱れているときがそうである。山などで遭難したというのがこのいい例である。"食べない"と "食べられない" とでは逆の結果がでてくるのだ。だから、恐れたり、いやいやながら、あるいは他律的にやらない方がいい。
仕事もそうですね。「やる」と「やらされている」の違い。
<168ページ 日光食について より>
あらゆる生物が生きていくためにもっともたいせつなものは、食べ物ではなく、日光と水と空気で、食べ物を食べるのも間接的にこれあのものを摂取しちることだ。ヨガでは日光を食べよ、空気を食べよと教えている。裸体の屋外生活は一番よく日光をたべることになるが、この生活の許されない文化人は、食物の内でも最も日光を吸収する力の強いものをたべる必要がある(日光食は陽性食である)。
日光によく当たると、栄養素の適不足を必要に応じて自由にやりくりするバランス維持力が自然にはたらくのだ。ウシは草だけ食べているのにりっぱな肉や骨を作っている。それはタンパク・デンプン・脂肪の主栄養素が、自由に変化しているからである。私自身が裸体生活者の食生活を見て、この真理にうなずくことができた。じょうずな自然生活をすれば、デンプンをタンパクに変えることもできるものらしい。
師匠に「日に当たって来い」と言われるのは「アーサナだけがバランス修行だと思うなよ。栄養素の適不足を必要に応じて自由にやりくりするバランス維持力を太陽から取り込んできなさい」ということなのだということを、ここを読んで学びました。
<203ページ 暑さ寒さに強くなる食事 より>
時間と場合と人により必要物は違ってくるが、それぞれに適した食物というのがある。つまり、寒暑に抵抗力のない人は、環境に適応する力、ないしは適応する成分がからだに欠けているから、それを補う食物を食べるようにすればよい。(中略)
夏は多量に発汗するので、塩分や水を失いやすく、その補給をしないと不足する。塩分が不足すると胃液が少なくなり、神経のはたらき・ブドウ糖生成能力・脂肪処理能力なども低下して食欲不振となる。しかし、水を飲みすぎると、血や胃液がうすくなり、それを吸収するためにも、エネルギーがむだに消耗されるから注意しなければならない。
これは、今年の猛暑で学びました。水を飲みすぎて、ものすごく消耗した。必要なときにバンダしにくかったりしました。
<205ページ 美しくなるための食事 より>
背を高くするには、カルシウムとビタミンKが必要である。
美肌をつくるには、アルカリ性の汗をだすこと(酸性の汗をだすと皮膚があれてくる)。
どっちも欲しい! まだ背が伸びたい! メモメモ。
<206ページ 頭をよくする食物はあるか より>
脳はよく使うほど髄素がふえてそのはたらきが高まるのであるが、はたらきを減少させる条件は、血行の悪いこと・酸素の不足すること・興奮のつづくこと・姿勢の悪いこと・養分のアンバランスのつづくことなどである。脳のはたらきは筋肉的なものではなくて、電気化学的なものであるし、 たいていの人がその能力の一五パーセントぐらいしか使っていないから、本来疲れるということはないはずだが、他の部分の異常が、頭の疲れを感じさせるのである。
食事で気をつけなければならないことは、過食したり便秘したりしないことである。バカの大食いといわれるが、事実小食なほど頭のはたらきがよくて、しかも疲れが少ない。
ほんとうに、仕事中はたくさん食べると、てんでダメです。
ヨガをはじめて、最初の2年くらいは身体がじょうぶになってよかったわい、というくらいにしか効用を感じていなかったのですが、いまは「頭を使うこと」「こころを使うこと」のエネルギー持続に役立つことのほうが、圧倒的に多いと感じます。
この本に書いてあるとおりのことが、やっぱりある。ヨガいいぞぉ。
(次回は「こころ編」をご紹介します)
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