うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

最強のヨガレッスン レスリー・カミノフ 著

長い正式名称は「最強のヨガレッスン ポーズ・動き・呼吸テクニックがわかる図解ガイドブック」という名の本です。昨日の日記はこの図版がきっかけでした。タイトルは「ヨガレッスン」になっていますが、アーサナの方法を説明するものではなく、アーサナ中に「何が起きているか」を徹底的に図解してくれている良書。このフォーカスでの切り口で、重複する良書をうちこは知りません。感動的な図版だけで、購入の価値あり。72ポーズといくつかのポーズのアレンジが載って、2,100円(税込)。これ、文字のところを全く読まないにしても、めちゃくちゃ役立ちます。

9月に発売になったばかりの本で、書店でふと目が合いまして。なんと渋谷東急プラザ紀伊国屋では、格闘技の本の売り場にありました(笑)。もうレイアウトは完璧に頭に入っている本屋で、そのエリアへは主に「丹田」モノをチェックしに行くのですが、なぜかそこで目が合っちゃった。(ここに置くのはどうかと思うが、やっぱりこの店の構成だと、ここなんだよなぁ。ヨガ本のエリアは「痩せたい本」エリアに配置されているので。)



アーサナの解説は以下の構成。項目と感想。

 ●図解……知りたかったけど見ることができず、妄想でしか補うしかなかった角度での解説が感動的。部位の名称はごちゃつかないように「筋肉名」にフォーカス。骨のことは記載が少ないです。
 ●分類とレベル……現代人の生活を鑑みて、手で支えるポーズの難易度はあえて少し高めに記載するなど、ポリシーとともに設定の記載あり。
 ●関節の動き……慣れない人にはわかりにくいかもしれない言葉ですが、いつか「およ?」と思ったら見ればよい。
 ●収縮する筋肉……関節よりはわかりやすいと思いますが、慣れてから見る、でもよい。
 ●伸張する筋肉……同上
 ●問題となる点と注釈……ここの示唆が秀逸! やっぱり、そうだよなぁ、と確認できたことがいっぱい。
 ●呼吸……わたしが道場で「さりげない呼吸で」とか「地味な呼吸で」と表現していたことの答えあわせができた。いい確認になった。


これはメモだ! と思った箇所をご紹介します。過去にここでアーサナの紹介をしたことがあるものは、「これだよ」的にリンクを張っておきます。

<14ページ 呼吸とは 容積と圧力 より>
肺に空気を押し込む力は身体の外にあります。呼吸でエネルギーを使って胸腔の形状を変化させると、圧力が下がり、大気圧により空気が身体に押し込まれるのです。

自分トリガーではない視点で呼吸を見るのは奥が深いですね。その日の湿度なども影響してくるし。



<30ページ 椎骨構造 より>
脊柱への負荷がなくなると親水性の核は水分を引き戻し、椎間板はもとの厚さに戻ります。朝起きてすぐは背が少しだけ高いのはこのためです。

脊柱について思うとき、「水分」という存在を意識したことがなかった。朝のアーサナと夜のアーサナの違いの感じ方を確認するときに、意識してみようと思いました。



<41ページ 立位のアーサナ 注釈 より>
パタンジャリ『ヨガスートラ』二・一 では、T.K.V.デシカチャー氏は、スティラを「鋭敏だが、緊張のない状態」、スカを「弛緩しているが、ぼんやりとしていない状態」と訳している。

「スティラ」「スカ」という言葉をこの本で学びました。ダウンドッグのスティラ、シャバアーサナのスカ、感じ方のイメージが広がります。



<61ページ 舞踏王のポーズ ナタラージャーサナ 呼吸 より>
 ナタラージャーサナ(本では両脚をつかんでいます)では、脊柱は深く伸展し、腹側と背側の筋群は重力の中でこの姿勢を保持するために互いに相反する動きをしています。その結果、横隔膜の可動域は非常に小さくなります。ですから、このアーサナの呼吸は静かに行うべきです。そしてアーサナを長時間保持すべきではありません。
 筋肉が姿勢を保持するために必要な酸素量は、身体の酸素供給量をすぐに追い抜いてしまうからです。アーサナを長く保持するほど、身体は深い呼吸を必要とします。しかし呼吸のために腹筋群や横隔膜の姿勢保持作用を緩めれば、脊柱や肩へのリスクが増えるのです。

この静かに行なう呼吸、アーサナによってはお腹の皮をなるべく動かさないように意識するものがけっこうあります。このアーサナは本当にそうだよなぁ。脊柱と肩へのリスクの併記と、アーサナのチョイスに感動。



<174ページ コブラのポーズ ブジャンガーサナ 呼吸 より>
 コブラのポーズでは、後屈に入るときに息を吸うように指示するのが標準的ですが、吐きながら後屈に入るのも極めて有益な方法です。腹式呼吸ばかりしていると、吸息で胸椎の伸展と胸郭の拡張がうまくできなくなってしまうからです(腹式呼吸では横隔膜の収縮時〈吸息時〉に胸郭の運動が制限されるのです。

吐けば肩甲骨が寄せやすく、吸えば胸が開きやすい。吐けば腰を締めやすく、吸えば腹のへそ上を伸ばしやすい。吸えば耳の下にある肩を下げやすく、吸えば喉を伸ばしやすい。
道場で「一回の呼吸で完結しないものなので、"肘をお尻に近づける"、"首を長くする"、"太ももを厚くする(=腰を締める)"、やることいっぱいなので、呼吸しながら探して」と言いますが、これはこれまで自分がやって来た中で、これ呼吸と連動する意識のバリエーションがめちゃんこ多いな! と思ったため。
「胸郭の運動の制限」という頭のよい言葉では理解していなかったけど、同じことだなぁ、と思いました。



紹介を見ると専門的に見えてしまうかもしれないけれど、初心者の人は「今日のあたしのこの筋肉痛はなんなのさ」の確認にもなるし、もう一歩進んで、複数のポーズに共通する筋肉痛で使っているところが確認できる。「一筋縄ではいかない理由」「えいやっ、てやるもんではない理由」「表だけじゃないのね、裏だけじゃないのね」てこともわかる。何より学生の頃は全く学ぶ気もなかった解剖学を、楽しく身体を動かしながら学ぶって、やっぱり最高。
もしまだこのテの本を一冊も持っていない人は、これを買いましょう。絶賛です。

最強のヨガレッスン
最強のヨガレッスン
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レスリー・カミノフ
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