うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ビジネスプロフェッショナルの仕事力 日本経済新聞出版社

岡島悦子さんという方が、さまざまなビジネスのプロフェッショナルな方々にインタビューしたものをまとめた本です。インタビューされる人の中に糸井重里さんの名前があったので、読んでみることにしました。


ここはヨガブログなので、この本の中にあふれ返る「ビジネスの話なんだけど、それってまんまヨガだよね」な部分を紹介していきますが、忘れちゃいけねぇ、うちこも早朝深夜以外はがっつりビジネスマンだったりするのでした。逆に、道場でしか会わないような人からしてみると、うちこはびっくりするくらいビジネスマンかもしれません。今日も席で結跏趺坐しながら、来期の予算見積もりを……(笑)。そうは言っても根がヨギなので、紹介はやっぱりヨガベース。


<第1章 情報を使いこなす力量で差がつく 御立尚資

11ページ:三倍のスピード感で仕事をこなすために より
私を含めた天才肌でないタイプは、どうすれば結果が出せるかということを意識し、かつ、身につけるために、繰り返していかなければならない。それには言語化し、一度左脳でプロセス化し、何度も繰り返せるようにすることが必要です。

うちこは仕事でもヨガでも、これをやるほうだと思います。「視認できるもので説明が欲しい」と、言わなければいけないときは、言うようにしています。相手が頭を整理することにもなるし。
ヨガはいっけんとっても右脳な行に見えますが、これも両脳バランスして行なうことで、かなり違ったものになってくると思っています。うちこの場合は右脳のハタ・ヨガと、左脳のリキタ・ヨガ。ここで説明を書きながら、新たに気づくことも多いです。

16ページ:階層化されている組織の目的 より
型を身につけるということは、仕事を構造化する力を養うということでもあります。個別のものの型を読み解くことで他との共通項や差異を探り、さらに全体の文脈をつかむ手がかりとすることができる。いわば構造主義的アプローチです。

これも、アーサナ同士の共通項や差異から導かれるものと同じものを感じます。ラクダはここが一緒で、その逆にウサギがあって……といったことですね。構造の核になるのは、呼吸とバンダ。



18ページ:自分の立場を離れて大局に立つ「幽体離脱」 より
プロフェッショナルと呼ばれるビジネスパーソンの多くは、俯瞰的な視点に立って、こうした物事の異なる側面を同時に見通しています。私はこれを「幽体離脱」と形容しています。自分自身を離れた立場から、例えば天井から見てみると、自分の抜けや漏れがわかるというわけです。
 これと同じことを実は世阿弥が言っています。「離見の見」と呼ばれるもので、ワキやシテなど、能の演者としてレベルが高い感覚と言うのは、自分や相手方、それに客観を遠くから離れて見つめられるということだそうです。

ヨガによって、俯瞰視点が身に付くプロセスというのもまた面白いものがあって、内観(自分の中の宇宙)から、全体観の共通項をマッピングしていくというのが日常生活の中で癖になってくる。そうすると、ヨガも仕事も同じアプローチ。インド人が「カルマ・ヨーガ」なんてものをあんな昔に提唱していたというのは、本当にすごいこと。




<第2章 ライバルの前例をレバレッジする 本田直之

35ページ:情報に触れれば触れるほど、選択眼が養われる より
(未来に向かっての社会や組織の)うねりをとらえるための情報をどのように選び取っていくのか。
 ポイントの第一は、その情報が発信されている背景を確かめることです。その情報の発信者、書き手、本の著者は誰なのか、出所はどこか、何を目的に書かれたものかを押さえるわけです。

ヨーガの本を読むとき、これはとっても重要。今はスピリチュアル・ブームへのマーケット手法的なバイアスには注意すべきだし、そのまえはオウム真理教の事件による「宗教ではない」というメッセージを付記せずにはいられなかった流れがあり、その両者の間にあるクッションが「ハリウッド・スタイル」。
わたしが日本人のヨギのなかでも古典的な部類に入る佐保田博士や中村天風氏、沖正弘氏の本を好んで読むのは、それ以前の流れであった教えが、「日本人としての、風土にあったヨーガ。神道や仏教に親しい国民性、マインドをもったうえで得るヨーガの教え」を真摯に提唱していると思うため。禅を提唱していた佐保田ヨガはあまり影響を受けず、地理的なもらい事故的にオウム真理教の事件による誤解の影響を受けてしまった沖ヨガ。そんな両者の背景なども踏まえたうえで読んでいます。ヨガはまっすぐであるべきものだから、知っておくことで自分の中のわだかまりが取り除かれるなら、とことん学んだほうがいいと思っています。



38ページ:情報にはフロー型とストック型がある より
意識して訓練するから上達するのです。普段から訓練せず、たまに思い立ってやろうとしてもうまく行きません。かといって、気合いを入れて訓練しようと、細かい情報まで固執して集めても嫌になって続きません。あくまでもこだわりすぎず、スピーディに情報を見て、量をこなすことがコツだと思います。

これ、ヨガそのまんま。固執しないの、重要ね。


<第3章 ナレッジを発信して相乗効果を狙う 勝間和代

53ページ:経験値を蓄積すれば、天才に匹敵する力になる より
(プロ棋士さんとお話しする機会があったときのエピソード)
例えば、若くして天才と言われた棋士が、四十〜五十代になるとずば抜けた成績を保てなくなることってありますよね。それはなぜなのでしょうとお聞きしたら、理由は二つあって、一つは体力の低下だそうです。私は知的生産の集中力をつけるために体力を養うべきだと常日頃から考えているので、これは大いに納得しました。
(ちなみにもう一つは、「周りが追いつくから」だそうです)

体力=丹田力=集中力。




<第5章 "心" が消費と生産をクリエイトする 糸井重里

96ページ:勝利しない恋愛はタメになる より
 うちの事務所で人材を募集したときに、「勉強ができます」「有名大学を出ました」「ウェブデザインができます」というような、ラベル付きの人がたくさん来てくれたんです。どこか型にはまっているといいますか。でも、そういう人は採用しても力を発揮できないことのほうが多い。ラベルのある人は、はがすのが大変なんです。その点、まっさらな人なら実務を二年くらい経験すれば、だいたい一本立ちできます。ラベルって、要するに世間とかその人の親が重視しているであろうと本人が解釈しているものですよね。そこには何ら本人の思いや価値観がない。でも、それでは自分が何を大切に思っているかわからないわけだから、当然ながら力が出しきれません。

「あなたにそういった経歴があるのはわかりました。で、何ができるのかは、これから見せてください」と。ほんと、そういうことなんだよなぁ。いくら口で言われてもわかんないよ。




<第6章 ウェブ革命が働き方を進化させる 田坂広志>

133ページ:企業のメッセージを動画で伝える時代 より
(ブロードバンドの普及により)言葉で表わせない「智恵」や「感動」「感情」「感性」などが自由に共有できるようになり、「感性共有革命」とでも呼ぶべきものが起こったのです。
 その代表的な例が「ユーチューブ」です。

感性共有とは、うまい表現だ。



137ページ:「魂が求めるもの」がプロへの歩みを導く より
改めて述べるまでもなく、「人間力」とは、「考える力」から生まれてくるものではなく、「感じる力」から生まれてくるものです。相手の気持ちを感じる力、職場の空気や雰囲気を感じる力、自分の内面の心の動きを感じる力。いずれも、そのまま「人間力」に結びついていく大切な力です。
(中略)
 プロフェッショナルの世界には、昔から、そのことを教える諺があります。
 「直観」は過たない。過つのは「判断」である。
 この言葉通り、自身の進路を決める、企業の戦略を決めるなどの、最も大切な意思決定の場面では、頭で考えた「判断」は、しばしば裏目に出るのですが、心が感じた「直観」は、あまり間違わないのです。この「直観」や「感じる力」を磨くために大切なことが、実は、「自身の内面」を深く見つめることなのです。

「内観」の重要性、説かれてますよー。



140ページ:将来の道を指し示す「未来の記憶」 より
 例えば、一冊の本を読む。そのとき、なぜか心に引っかかる言葉、心に残る言葉がある。そのとき、その理由はなぜかは分からないけれども、何年もの歳月を歩んだとき、ふと、その「言葉」が、自分の人生の未来を教えてくれていたような気がすることがあります。
 著者の魂と格闘するような思いで、本を読む。
 その姿勢が求められます。そうした姿勢を持たず、単に知識を身につけるだけの目的で読む本からは、そうした言葉にめぐり会うことはできません。

本を読むとき、誤字脱字を見つけるセンサーがよく働くのですが、「この本、最後のほうはリリースに向けてやっつけて、最初の志が薄れてる」とか、そういうことも気になります。著者もしくは、その代弁者の思いがそこに出る。この本は、そういった間違いも無く、そういう点でもよい本だと思いました。




<第7章 情報が錯綜するなかで決めきる力 冨山和彦>

159ページ:合理と情理を束ねたうえで決断する より
千人しか乗れない船に千五百人乗っているなら、五百人には下りてもらわないといけません。経営者にとっては一五○○分の一の問題だけれども、下りる本人にとっては一分の一の死活問題だし、家族の生活や人生だってかかっているわけです。深刻さや重みが全然違う。
 それでもなおかつリーダーは、自分の下す判断の重みに耐えながら、この合理と情理の相反する情報を束ねたうえで決断していかなければなりません。そこで求められる力、決めきる力は二つあります。
 一つは、自分が判断を下すことで受ける恨み、つらみ、泣き言など、その全てを背負い込む覚悟を決めること。まさにリストラの決断なんてそうですね。ずっと恨まれたり憎まれたりし続けるに決まっています。それは僕だってドキドキするし、気が重いですよ。でもそれは引き受けるしかないのです。だからリーダーは人間的に強くないと折れますね。
 決めきる力のもう一つが、決めたことで結果的に間違うことも多いが、「それはそれでいい」とマゾになれること。決断するときはいろんな情報を分析して、その瞬間のベストな答えを導きます。ただ、その通りになるかどうかはフタを開けてみないとわからない。ベストを尽くしたとしても、勝負は時の運なのです。

なんか、インド人のいい面の思想のような気がします。ここ。それぞれに思いがあろうと、あるがままなんだ、と。




本のタイトルはめちゃめちゃ苦手なノリなのに、思いのほかヨガっぽい紹介になって、自分でもびっくり。商売ヨギには、あたたかい気持ちになれる一冊です。IT系にお勤めの方には、糸井重里氏の「インターネット的」もあわせて読まれることをおすすめします。


▼おまけ わりと似たようなこと
サラリーマンこそ、カルマ・ヨーガの志を。

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