うちこのヨガ日記

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ウェブ2.0は夢か現実か?―テレビ・新聞を呑み込むネットの破壊力

ウェブ2.0は夢か現実か?―テレビ・新聞
これも、仕事仲間からのいただきもの。昨年の本なのですが、タイトルが巧妙なのがちょっと嫌。中身にネット企業のゴシップが多いので。ライブドア社長の逮捕劇のエピソードが多すぎて、2.0関係なくね?という気がしてしまいます。
ただ、ひとつすごくよいとおもったところがあって、立花隆氏と石田衣良氏について堂々と言及しているところです。

<152ページより>
取材をいっさいしていないように見える立花氏が、堀江氏の「書きっぷり」だけを根拠に「危ない金」と断定してしまっていいものか。


(中略)


そして立花氏は石田氏をこう持ち上げている。「石田氏は小説を書き始める前、広告業界の業界人としてちゃんとした実績をあげてきた人である上に、実は、大学時代から実践的に株を勉強してきた人で、今でも、小説家をいつやめても、株の売買で食っていけるというくらい、株の世界、金融の世界、経済の世界に通じている人でもある」
だから石田氏の指摘は正しい、というのが立花氏の論拠だ。相当に希薄な根拠ではないかと思うのだが、どうだろうか。

という記述から、「R25」に石田氏が書いたコラムの引用に続くのですが、まさにこの「R25」の記事、当時「あーあーあーあぁぁぁ・・・」と思いながら読んでいたのです。石田衣良氏の小説のファンだったからこそ、ガッカリしたことをすごく鮮明に思い出しました。そして、その後石田氏はお詫び文の掲載にいたるのですが、この本の著者はこの項目できっちり最後にこう書いています。

<154ページより>
ライブドアの起こした騒動をめぐって、さまざまな議論が行われている。そこには批判も賞賛もあり、冷静な分析も熱い議論もある。議論そのものは、当たり前だが否定されてはいけない。しかしそれにしても、立花隆氏と石田衣良氏というのは、いずれも日本を代表する言論人ではないか。果たしてこれでいいのだろうか。

ここは、本当に読んでいて気持ちよかったです。正直。うちこはそのときたまたまヒルズの1階を通ったので、逮捕当日の異様な雰囲気を覚えています。そして同じビルに上記の金融問題に関係するリーマン・ブラザーズも入っていて、その不思議な雰囲気というのはなんとも表現しにくい感じでした。
この本の筆者の書いている内容には、「よく知らない人が面白そうなところだけ切り出してないか?」と思うところもある反面、ライブドアの技術については正当な評価をしていると思うので、筆者を否定する気持ちは全く起きませんでした。

一方、こうゆうふうにIT業界で働いていない人にもちょっと面白く読めるような記事に仕上げてしまう筆者のような上手な書き手に「怖さ」も感じました。そこで起こっていることはIT業界だけでなく、一般的なことであるはずのことを、「IT業界の今」として上手に書いているからです。

この本を読んで、よく知らない人に面白おかしく伝道される怖さは、自分なりに仕事に対して思うところも志もあるので、気をつけなければいけないな、と思いました。

そして、これはこの本にも仕事に関係ない身近な場面で起こっていることですが、世の中には自分の目で見ていないことについて話す人がたくさんいること、そして実際に目で見たものでも、相手の立ち位置や志に配慮せず、ただ一瞬の自分だけの快楽のために、生産性のない時間と情報を消費する人がいるということを、あらためて肝に銘じました。腹を割って話す相手を、今後はじっくり吟味していこうと思うきっかけとして、今この本を読んだことに因果すら感じてしまいます。

ウェブ2.0は夢か現実か?―テレビ・新聞を呑み込むネットの破壊力 (宝島社新書)
ウェブ2.0は夢か現実か?―テレビ・新聞を呑み込むネットの破壊力 (宝島社新書)佐々木 俊尚

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