うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

拝啓、本が売れません 額賀澪 著

1990年生まれの小説家の人って、こんなふうに自分の立場と出版業界を見ているのかと思いながら読みました。
厳密には「拝啓、紙の小説が売れません」という内容で電子書籍や図書館の話が出てこず、紙の本が読み手に届くまでのことに焦点を向けたものでした。著者はとても素直な人で、SNSだけじゃだめ、情報がフローする場ではなくストックされる場が必要というアドバイスを受けてすぐにウェブサイトを作ったりしています。
 
わたしはできるだけ文字だけの本は電子で買いたくて、好きな作家の本は電子が出ていればすぐ買うのだけどそうでないと後回しにしているうちに半年たち、一年たち…となって、思い出したころに図書館であっさり借りることができてしまう。
わたしの本棚は筋肉や骨や内臓の図解本が多く、図や写真のないテキストだけの本は「電子なら買い」という思考が先行します。小説でもヨギガンジーのしあわせの書みたいにもうこれ絶対紙じゃなきゃダメなやつというものだと買っておきます。わたしはこのように圧倒的電子派なのですが、いずれにしても、いまライフスタイルの変化の影響を最も受けている商品が「小説」かもしれません。

それにしても本は音楽と違って「ライブ」というものがないから、図書館には新刊小説をすぐに入れないようにしたらどうだろう。あれはどう見ても音楽よりもキツい仕打ちと感じます。
わたしにとって「作家」は実物を見てどうするという存在だから本屋で行われるイベントには興味がないし、これから読むものについて情報を入れたくない。そう思うと音楽を買ったときにライブ先行申し込みができるほうが順番としては自然で、でも本の場合はファンビジネスではないのだものね…。
物体を売ることを目的のひとつにしてしまうとどんどん手法は表面的にネタ化する。その途中経過を見たような気がしました。
わたしの場合は文学が好きなわけでも読書が好きなわけでもないのだな、ということにあらためて気がつきました。
 
拝啓、本が売れません

拝啓、本が売れません