うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

葱 芥川龍之介 著

ちょっとちょっと芥川さん。あなた30代半ばで毒飲んで死んじゃったから知らないだろうけど、その芸術かぶれのかわいいカフェ店員の女の子、あなたが27歳の時にこんなにおもしろい短編を思わず書かせたインスピレーションの源たるそのカフェ店員の女の子は14年後に芸術かぶれの勢いを文学に昇華させちゃってものすごい小説を書いちゃうのよ。さらに28年後から10年かけて名作を書き上げるのよ。10年よ。ものすごいスクワットよ。根性あるのね。やっぱりただのカワイ子ちゃんじゃなかったのよ。あなたが "何か僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安" とか思ってる間も彼女は着々と恋と芸術のセンスを磨いて磨いて、ゆくゆくはヨガもして長生きしたのよー。って、話しかけたくなる。そんな物語でした。

葱

 

 


それにしても・・・

  1. その人のその人らしさをこんなにも魅力的に、締切日が明日だからって一晩で書き上げるなんて。芥川龍之介って真面目な仕事人だったのね。
  2. もしこれが実話をキーにした物語だとしたら、その状況で「葱」の現状をスルーしない宇野さんはやっぱりサイコパス的であったのではないかと妄想する。


▼参考メモ
1919年12月11日(大正8年):芥川龍之介27歳 「葱」執筆
1927年(昭和2年):芥川龍之介35歳 毒を飲んで世を去る
1933年(昭和8年):宇野千代色ざんげ」発表
1947年(昭和22年):宇野千代「おはん」連載開始
1957年(昭和32年):宇野千代「おはん」を上梓。野間文芸賞を受賞