うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

空海「般若心経秘鍵」 加藤精一(編)


同シリーズの「三教指帰」「秘蔵宝鑰」を紹介したことがあります。わたしは空海さんの本を読みながら空海さんゆかりの場所を旅する、というのを数年に一度のたのしみにしています。この本は昨年、善通寺へ行った頃に読みました。般若心経の解説を空海さんが行うと、空海さんの根本思想が見えてくる。そんな内容です。
読んでいると歴史の発見もありました。空海さんが読んでいた般若心経はいまの時代では玄奘訳として読まれているもので、でも空海さんは鳩摩羅什訳と思って読んでいたことなど。
そのような時代のものなので、内容の正しさを問うたら今の時代では研究が進んでそうではないことも出てくる。それでも生きかたについて思索するスタンスの根っこは「三教指帰」の頃から変わっていないように見えました。
この本の終盤に添えられている「空海さんによる人生相談」のような書簡や書物の訳のなかで見られる空海さんは、神のように崇められる高僧になってからの空海さんだけど、それまでにたくさん妬まれたりバッシングされたり意地悪されたりしてきた人でなければ出てこないような言葉ばかりで、そのあまりにも "何周もして普通っぽい感じ" がたまりません。訳の妙もあるのでしょう。わたしはこのシリーズのやさしい訳が好きです。

中盤の般若心経の解説ではとても情熱的な勉学僧としての空海さん、それを挟むコンテンツでは人間味あふれる有能な苦労人・空海さんの言葉に触れることができます。


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