インターネットのコミュニティ・サービスの変遷や、「いい状態」をキープすることのむずかしさなどが、さまざまなライターさんの立場・視点で語られています。
なかでも、
- 「第4章 サル学から考える人間のコミュニティの未来」山極寿一 著
が、すごくおもしろかった。
長らく不在だった人でも受け入れるという社会的な特徴が、人間にはある。
また、渡り歩く本人にしても、各集団で求められる役割や個性が違う。そして、それを理解し、求められる通りに演じ分けることができる。それでいながら自分のアイデンティティを保っていられるという、非常に高い「自己認知能力」があるのだ。
(人類の進化とコミュニティの形成 より)
本来、会って話をする時間を節約しましょう、というようなことであったはずのIT化が、反対の方向に働いてしまっている。
こうした本末転倒を防ぐためには、心を通じ合わせるためのツールとしてネットを使うのではなく、単に意見を集約するための情報収集装置として利用した方がいいのではないかと私は思っている。
(ネット社会における社会的行動の課題 より)
SNSの普及であっという間に監視したりマウントしたり縄張り争いをする補助ツールになってしまった感があるけど、会って話す友人がよりリアルに感じられたりするのは不思議な感じがする。
リアルとネットについて、監修者・近藤淳也さんの
ただ、「それぞれの良さを把握して両方を使いこなす」という態度があるだけ。
(インターネットと人間の未来 より)
も、ほんとうにそれだけなんだよなぁ。
近藤淳也さんは、このブログのプラットフォーム「はてな」の創始者さん。
「はてな」はあまり不自然な方向にサービスを走らせず、流行っているものでも「リアルの窮屈さをわざわざネットに持ち込まなくても、いいじゃない」という感じがして好きです。
ウェブサービスをやっている人には懐かしい感じがして息抜きになるし、そうでなくてもサル学の話がおもしろいです。
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