うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

Shiva Samhita (English Edition) Kindle版 Swami Vishnuswaroop 翻訳


ハタ・ヨーガとラージャ・ヨーガはともにあるという根幹はハタ・ヨーガ・プラディー・ピカーと同じなのだけど、そもそも「シヴァ・サンヒター」という書の名の通り、神との紐付け表現が多くなっています。でもラストは現実社会にも寄り添っていく。
序盤には他派の異論を想定したかのような節が入っており、その他派ってのはどこ見てるんだよという気持ちが起こります。編集のチャレンジ要素が多く、読んでいておもしろいです。
道徳的な教えまで含めて盛り込むだけ盛り込んである感じなのですが、トーンとして強調の書きかたが濃すぎるゆえ読みようによっては洗脳されやすく、神通力の書き方も味付けが濃いです。この種の本はそういう側面が強いのですが、スピリチュアルな本を読むだけで万能感を得たかのように錯覚したり、すごいと言われる人に会っただけで自分もすごいかのように思いがちな人にはちょっと危険かなぁ。
「無駄な人づきあいを避けろ」などの教えも、自己正当化のために気持ちよく読むとニートのできあがりになってしまうので、こういう本はたいへん紹介のしかたがむずかしいところです。


この英訳版はいい意味ですごくシンプル。「続・ヨーガ根本教典」と比べて読むと、あらためて佐保田先生の訳のおもしろさを発見したり。
以下Swami Vishnuswaroop版では5章165節、「続・ヨーガ根本教典」では5章175節。

He who takes a mental bath at the confluence of the White Ganga(the Ida)and the Black Jamnuna(the Pingala),beeing freed from all sins,reaches the eternal Brahma.


白河(イダー気道)と黒河(ピンガラー気道)の合流点において。精神的みそぎを行ずる人は、すべての罪から解放され、永遠なる梵に赴く。

精神的みそぎってのが、しびれます。日本語の趣として神道も仏教も混ざっちゃってて信仰感が増しているのがおもしろい。
原文は「manasa snanamacaret」というところで、manasaはマナスなのでメンタルとか心とか精神、snanamacaretはsnana+macaretで、入浴(bath)+正直さ・敬意を示す という感じの意味です。これを「精神的みそぎ」って! 6文字でまとめてる。
佐保田先生の訳は、それはやりすぎでは…と思うこともあるのですが、たまにこういうコピーライター的な要約力におどろく。白河ってなるとさらに「みそぎ(禊)」と相性がよい字列。別の味わいが出すぎです。


「シヴァ・サンヒター」はライフハックっぽいこともたくさん書かれていて、ちょっと変わった教典です。


Kindle版のみです

Shiva Samhita: A Classical Text on Yoga and Tantra (English Edition)
Divine Yoga Institute, Kathmandu, Nepal (2002-01-03)