滑りこみで観てきました。インドの仏展。
インド、パキスタン、ミャンマーの仏像ばかりなので、あたりまえですが日本のものがない。
そうするといろいろな発見があって、インドで発生したものが、右(ミャンマー)、上(中国)、左(パキスタン)の方向別にちゃんとその国の人に近づいている感じがするのがおもしろい。中国を経由して渡ってきた日本の仏像の特徴に気づくきっかけにもなりました。
以下、わたしの雑感。
■インド
- 蓮の花の上にも仏像を置いちゃうのは、砂糖は少しでいいとかいらないと言っているのにどうしても入れずには出せないチャイ屋のチャイのよう。美観的に完全にそれはナシだろうと思うのだが、乗ってるものがけっこうあって、「インド人らしいなぁ」と思った。
- 手足長い。頭が小さい。組んだ足が優美。日本の仏像がマンガっぽく感じる。
- 降魔印(ムドラー)のものが多く見られたが、脚は100%吉祥坐で、左脚を先に組んで右脚が上。このへんはやはり伝播の時点でブレが出ているのかなと思った。(日本の飛鳥時代の仏像には脚の組み順が反対のものがたまにある)
- ブッダにインドラが弟子入りするとか、摩耶夫人のフシギ伝説とか、仏教側もいろいろ盛ってますなぁという感じがおもしろい。
- 女尊はアクセサリーがおもしろい。昔から飾っていたんだなぁと思う。
- 財宝神が太鼓腹のところまでは納得なのだけど、右手にレモン、左手にマングースという収穫物のチョイスはよくわからない。
- 驚くほど表情がすっきりと美しいものがあった。インドよりも位置的にヨーロッパの影響が入りやすい影響か。
- 工芸的な細密度が上がる。「ストーリー」を重視しているものが展示してあった。発祥の地ではないからこそのことかもしれない。
- マンガっぽい要約デフォルメがうまい。ビリケン風の、ちょっと悪魔っぽい仏像もあった。
■中国(映像で見た)
- とにかく大きく、偉大さという概念を大切にしているように見えた。
そして、日本の仏像については比較でこんなことを思った。
- 座位も立位も、姿勢にまじめ感がある。
- マンガっぽいデフォルメに概念を乗せるのがうまい。
- おでこのボタンの立体感は日本がダントツ。
日本は言語力が発達しなかったぶん、概念やニュアンスを資格化するのがうまいのかもしれない。
アニメをクールなカルチャーとして見るように、運慶快慶の頃からそれははじまっていたんだなぁ、なんてことを思いました。
立像はなかったので、いつかコルカタ・インド博物館にも行ってみたいな。