このブログももうすぐ2000記事になろうとしているのですが、記事の三分の一が読書感想文です。
過去に何度か、読書感想記事の管理はインデックス化したほうがよいのではないかと思い立ち、古くはアマゾンの「インスタントストア」(本棚サービスではなかったけど)、2009年に「メディアマーカー」という読書ログサービスに手をつけてみたものの、150冊くらい登録して挫折し、そのとき考えたのは
- 特にあわてて整理する必要もないし、「本棚」という記事でまとめていくことにしよう
- 本棚の定義って気分で変わるし、この場は著者別やテーマ別のインデックスが有効なんだろうな
ということ。
そんな経緯もあって、手作業でたまに人名とテーマで本棚がわりのインデックス記事を作っています。
その間、アマゾンのレビューは食べログ同様、大勢が利用するサービスの宿命をたどっています。同時進行でアマゾンよりも「読んで感じること」の管理や共有にフォーカスしたウェブ本棚サービスが成熟してきています。「読んだ量」をマラソンと同じように管理するニーズもあるようです。好きな作家の作品を追う人にはコンプリート願望もあるだろうし、読むという行為の愛し方はいろいろ。そこにある機能は「買うこと」のアクセル・ブレーキではなく、「読むこと」のモチベート。
アマゾンはコマースサイト(お買い物の場)なので、レビューと言ってもその背景に共有するマインドとして「この本を買っても損をしないか(ハズレじゃないか)」という確認目的がベースにあり、レビューする人の中にものすごい才能のある人もいるのですが、基本は「お買い物の品定め、確認の場」でした。
今日は先に書いた「メディアマーカー」と、その後の読書管理・本棚サイトとして利用者数ナンバーワンとなった「ブクログ」そして、よくその2サービスと並んで登場する「読書メーター」を使ってみた感想です。
この感想をまとめること自体がちょっと面白かったのですが、ひとことで「ウェブ本棚」「読書管理」といっても、どこが心地よいかはその人の優先順位によるので比較作業をすることで自分のスタンスを知ることになりました。
こんなことを書きます。
- 前提背景・利用目的
- 使っている途中で感じたこと
- 自分の中で見えてきた機能要望のベース
- ネットユーザーとしての所感
- ヨギとしての所感(ほとんど妄想)
- ちょっと突っ込んだ感想:ブクログ
- ちょっと突っ込んだ感想:読書メーター
- ちょっと突っ込んだ感想:メディアマーカー
- まとめフィーリング
■前提背景・利用目的
- やりたいのは、人名やテーマ別の本棚整理。
- ブログ読者の人にもっと見やすい方法はないかと模索。
- そこからのブログへのアクセス流入は求めない。流出先、経由先として使いたい。
- なのでアフィリエイトの設定は重要ではない。
- 感想を星の数で表現することができない性分。
- スマホで利用することは少ない。
- 濃いヨガの教典から新書の流行り本まで手広く読む。
- 洋書も入れたい。コミックはあまり読まない。
■使っている途中で感じたこと
- 3サービスに共通すること。紙かKindleかは、媒体の形式の違いでしかないので、登録や表示の上でコードが分かれるのはストレス。Kindleで読んだものも紙のほうのコードに登録しちゃう。むずかしいのはわかるのだけど、マージしてほしい。
- 要約レビューのリライトをするのは、ためしに60件やってみたけど、ブログ内の文章を抜き書きすればよいのでそんなにしんどくない。
- スマホアプリを3つ触ってみたけれど、普段の移動範囲によく立ち寄る大きな本屋があるので、リアルとネット経由で売れているものの違いを感覚的に見る以外は使わない。
- 読書量、これから読もうと思っている本、積んである本は管理できなくていい。
- 読んだ本の統計で共通性は見いだせても、ものの見方が似た人を探すことはできない。
- 人のレビューは短いとかえって読まない。でもレビュー力のある人の文章から興味がわくことはある。
- 好きな本に対するつぶやきな短文レビューを見るとがっかりする。
- それは本が「心のスナック菓子」の感覚の人と、「心の栄養」の人が混在するからだろうか。
- 「読書メーター」の統計のように、読んだ著者数など自分でいちいち計算しないことがわかるのはおもしろいものだ。
- ブログパーツはソート機能が充実していないと使う気にならないものだ。
- 本をきっかけに集う場所ではそういうニーズが少ないと思いきや、意外と日記のようなことや本に関係ないことも書きたい人が多い現実にびっくり。ほかのSNSでやればいいのにと思うのだが、本がセルフブランディングにつながると考える人が多いということかもしれない。
■自分の中で見えてきた、望む機能の方向
- 本を活字消費ではなく「心の栄養」と思って読む人のレビューだけ読めたら、がぜん使う気になりそう。
- 基本機能として読了本のソートやグルーピングをフレキシブルにできないのであれば、ブログとの連携は考えない。
■ネットユーザーとしての所感
- 閲覧サイトとしてアマゾンに加えてレビューを参照しつつ、自分の読む本も管理したいなら「ブクログ」
- サクサクした操作で読書ログを残しつつ、暇つぶしをしたり気になる本をチェックするなら「読書メーター」
- 感情的な要素を削ぎ落として、読書ログを管理するなら「メディアマーカー」
■ヨギとしての所感(ほとんど妄想)
ヨガ本はやっぱり本全体の中では読む人が少ないみたいで、ヨガの本ばかり読んでいるわたしならではの偏った感想を持ちました。
- 「ブクログ」はさすが層が厚いなと、「バガヴァッド・ギーター」のユーザー数とレビューを見て思いました。あと、なんというか意識高い系の人が選ぶサービスなのかなとも思った。銀座や恵比寿でヨガをする人がいそうな印象。
- 「読書メーター」は本によってはアンダーグラウンドな雰囲気のものもあり、デザインや芸術を好む人が多そうな印象を受けた。「タントラ叡智の曙光」はブクログよりも登録者が多い。総武線沿線や下北沢、三軒茶屋でヨガをする人、もしくはインドへ行っちゃう人がいそうな印象。
- 「メディアマーカー」ではヨガ本の読者は少ないが、宗教的なもの、スピリチュアル系(ヨガナンダさん周辺など)になるとそれなりにユーザー数があるのがおもしろかった。ヨガを習いに行ってみたいけど行かない人がいそうな印象。
■ちょっと突っ込んだ感想:ブクログ
- インターフェースがよく、他の2サービスに比べプロモーションが多い。ブログサービスの中でのアメブロのような、親しみやすくてユーザーが多いことによる安心感(安定感か)がある。読書ログなので当然民度は高いけど、存在としてはアメブロっぽい。
- パソコン版で見た際の右のバナー広告表示待ちでメイン操作画面が遅くなっている。サービスとマネタイズのバランスが転倒しているので使い続けようと思えない。
- たとえば「ヨガ」で検索すると、Amazonの検索範囲が「すべての商品」になっているので、本にヨガマットが混ざってくる。これは、アフィリエイト機能との連携あっての流れかもしれないけど、デフォルトを「すべての商品」ではなく「本」+「Kindle」+「洋書」にしておくほうがメイン用途に合っていると思う。
- 談話室もあがっているが、ソート機能の充実対応が進んでいったら最強になりそう。
■ちょっと突っ込んだ感想:読書メーター
- 直感的に操作しやすい。ごちゃごちゃしてないのがいい。
- 読書世界にあってほしいアンダーグラウンドな香りが少しある。ドメインが個人名っぽいし(笑)。
- 「相性」のアルゴリズムを凝ったら化けそう。こういう遊び感覚は楽しい。レビューの文字数やテキストマイニング入れたらすごく面白そう。そこまでやらないんだったらそのうちタブから消えそう。
- FacebookのアカウントでログインしたらFacebook投稿ありきのデフォルト機能になっており、レビューを書いた後に毎回連携投稿のチェックボックスを外すなど、警戒心を持ちながら使用しないといけないのはしんどい。ふつうのログインに変えればいいのかと思って変えてみたけど変わらなかった。ユーザー数を増やす策としてはあまりいい手法とは思えない。
- 少ない機能でよくここまで読書好きコミュニティ感を出しているもんだと思う。そこにすごく感心する。
- コミュニティの雰囲気が深夜ラジオのリスナー同士のようで、独特なあたたかみがある。
- 自分の読書感想に「ナイス」というのがついていて、それをつけてくれた人たちがいい感じで、軽くない。
■ちょっと突っ込んだ感想:メディアマーカー
- データベース管理サイトなので、本棚としてのソートに使うタグは感覚的にではなく、考えて作る必要あり。
- これを検索でなんとか代用したいのに、and検索やor検索ができないのがしんどい。「ヨガorヨーガ」「インドandチベット」などのまとめ表示ができない。
- ユーザー数をクリックした後の表示が思いっきり「はてなブックマーク」の風情。データ管理技術ベースでできあがっている感じが、これまた嫌いじゃないです。
- 全般淡白なので動作が速い。
- 全般淡白なので短いレビューコメントでもいい感じがする。
- 全般淡白なところがいいのに、なぜか物々交換がある。
- ちゃんとしたオトナ構成比が高そう。平均年齢が高そう。
■まとめフィーリング
頭は「メディアマーカー」を使えと言っていて、五感は「読書メーター」がいいと言っていて、ネットサービスのなかでほどよく汚れたわたしは「ブクログ」にしておいたほうがいいんじゃないか? と言っており、結論としては「メディアマーカー」の検索機能が充実したら、もっと本気で使うんだけどなぁ。でも、飲み屋的に行きつけにするなら「読書メーター」だなぁ、という感じです。「読書メーター」は、ネーミングの雰囲気以上に文化的なムードがあります。
いまのわたしは「利便性」「ユーザ数(=データ数)」「インターフェース」「マルチデバイス」よりも、「書物への愛」を重視したい性分であることがわかりました。読んで消費するだけでなく、書くことのむずかしさもわかった上で読書を楽しんでいる人のレビューは、短い文章でもグッと刺さる。
レビューのテキストが「本」を軸にしたレビューか、「それを読んだ俺(あたし)」なレビューかというのは個人の性格しだいだけど、「本」のレビューの質は、わたしの感覚では「ブクログ」よりも「読書メーター」のほうがフィーリング・グッドでした。