小林源太郎の彫刻が見られる神社です。源太郎さんと雲蝶さんは、江戸時代に新潟県内でおそろしくハイクオリティな彫刻をしまくった、ジョンとポールのような関係の人たちです。
石川雲蝶さんは「越後のミケランジェロ」として近年人気が高まっており、昨年ステキなパンフレットもできました。わたしも実際作品を初めて観たときは腰が抜けるかと思うほどで、以後作品を追いかけているうちに、ライバルの源太郎さんの作品も目にするようになりました。
雲蝶さんの作品は刻印(サイン)が残されているものが多く情報を追いやすいのに対し、源太郎さんは刻印をしなかったためにあまりその作品の歴史を追われることがないのですが、ここの源太郎さん作品はほかの場所で見られる作風とはすこし違って見えました。
亀の這い方がいたずらっぽくて楽しげな構図です。獅子の表情も丸みがあります。「秋葉三尺坊大権現」の共作のときはソリッドなテイストが色濃く出ていたのですが、この神社の彫り物は丸みがあってかわいらしく「源太郎さんも、チャーミングなことしたいんじゃーん」と思うようなやさしい雰囲気があります。
拝殿。わたしが参拝に行ったときは、本殿で地域の方々の還暦パーティが行なわれていました。
地元の人が集まる活気のある神社。
亀の構図がダイナミックなのが、ヒキで見るとよくわかります。カメ、カメ、カメ、カメ、カメ!
ビックリドッキリメカのようです。
【参考】これは雲蝶さんバージョン
(新潟県三条市の石動神社)
木原尚さんの本では、二人の作風の見分けどころは「獅子のおでこ」とされていたのですが、わたしはこの見方だとよくわからなくて、亀のほうがわかりやすいです。源太郎さんは実物の動きのリアリティに忠実で、雲蝶さんはそこにちょっといたずらっぽいデフォルメを入れている。足の動きのカーブにひとつ可動ポイントが多い。親亀が小亀をおんぶしているような構図のときもあります。
木目の主張があるからかわからないけど、よその波に比べるとまろやかな彫りに見えます。
場所はこちらです:新潟県長岡市与板町与板乙6045
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