日記を書きます。旅行記を書きます。
テレビで映像が流れていたようですが、例外になく昨日はうちこも都内で足止めとなり、無理に帰宅することをあせらず、交通網が復活してからきょうの夜に家へ帰ってきました。仕事でイベント開催中に地震が起こったため、避難誘導やその後の対応に追われていました。イベントが中止となっても交通網が停止していたので、多くの「孤独」が生産されてしまった。
今日書くことはずっと後に書く予定でした。が、昨日今日と思うことがいろいろあったなか、「TSUNAMI ─ 津波」について書こうと思いました。
TSUNAMI、は日本語由来の国際語です。スリランカでも、発音は「ツナミ」です。
1946年にアリューシャン列島で起きた地震でハワイに被害が集中した際に、日系移民が用いていた「津波」という言語がそれ以来国際語になったのです。（参考リンク:語源由来辞典）
写真の人は、スリランカの旅で出会ったアーナンダおじさんです。アーナンダさんのお姉さんがうちこの母親と同じ年齢なので、55歳くらいの人です。きっと今ごろスリランカでニュースを見て、心配してくれていると思う。手紙を書かなくちゃ。うちこはスリランカでこのおじさんにいろいろなことを教えてもらったのだけど、そのなかのひとつとして大きく印象に残っていたことが「TSUNAMI」のことです。
2004年のスマトラ島沖地震で大きな被害を受けたスリランカのビーチは、いまでは立派なリゾート地として復興しています。
このビーチで商いをするアーナンダおじさんは、津波で持ち物はすべて海にのまれ、身ひとつで出直すことになりました。手に職があります。アーユルヴェーダのマッサージ師です。
二人でお茶を飲みながら。この傘を超えて、奥のお店もすべて波にのまれた場所。奥のお店は津波の後にできたお店です。
TSUNAMI、ツナミ、津波。おじさんから何度も発せられるその発音。
スマトラ島沖地震の際、日本も多くの支援をした過去があるのですが、過去に「セイロン島の車窓から」という紹介で書いた、スリランカで多く見る日本のバス車両が届けられたのはその頃から。
アーナンダおじさんの話の中で、わたしたち母娘がもっとも驚いたことは、あれだけ世界中から募金や支援が集まっていても、このおじさんには一銭も届いていなかったということ。母が、「わたしも地震にあったけど、各地から集められた支援は政府を通じて届けられたわ。どうしてそんなことが起こるの？」と、英語で質問をしていました。
インドの権威社会、賄賂社会と同じことです。支援金は権威者に握られ、平等性のある配慮にかすりもしていない人々がいたようなのです。というか、目の前にいた人がそうでした。
そんなアーナンダおじさんが、TSUMANIの話と同じくらい、何度もうちこたちに質問したてきたことがある。
のこと。日本人の忍耐強さのこと。
「赤ちゃんを背負いながら仕事をして、コーヒーカップの大きさの量しかライスを食べない人」というのがアーナンダおじさんのとらえている「忍耐強い日本人」の姿。つらいときは「おしん」に励まされてきた。尊敬している、という。
「いつもどんな食事をしているのか」という質問の流れで、普通にジェスチャーを交えてご飯の話をしたら、「やはり本当にその量なのか。コーヒーカップくらいじゃないか。おしんで見たけど、君もそうなのか？！」と。
おじさんにとっては、日本から多くの募金が寄せられたことよりも、多くのバス車両が届けられたことよりも、「おしんマインド」が地震から7年を経た今でも心の支えとなっていた。日本でみんなが声をかけあって集めた支援金は一銭も届いていないのでした。
政教が悲しく融合していない仏教国。それは、スリランカで見たひとつの国の姿。
日本国内では、支援金は検討されて届くことになると思います。すべてに配慮が届くことができなかったとしても、少なくともスリランカの現実のようなことはありません。
ただ今回の地震は交通網、物流網への影響が広範囲です。届けようとする人が被災してしまう二次災害や、途中で手戻る荷物のこと、そこに使うエネルギーのこと。届けたい気持ちとメッセージは、時を待つしかないことも多いと思います。
どんなことが支えになるのかということについて、いま日本中で多くの人が自問自答しているのだと思います。でも、それは口に出して語り合えるような想像の範囲にはないのかもしれません。
アーナンダおじさんが熱く語る「OSHIN」という発音が、耳の奥でよみがえる。
想像して行動するだけが支援じゃないんだ。想像して行動したいと思う気持ちって、なんだ？
いまは、そんなことを考えています。
