うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

「ハゴロモ」よしもとばなな 「花芯」瀬戸内寂聴

久しぶりに読んだ、ヨガにもインドにも仏教にも関係ない小説2冊。旅に出るというのでそれぞれお友達が貸してくれました。


ハゴロモよしもとばなな
高校生か中学生の頃に「キッチン」「つぐみ」と続く大ヒット作をはじめ、10代の頃に読んで以来、久しぶり。この人の作り出すおとぎ話は本当に独特で、ちょっと気恥ずかしいような気分になりながら読みました。
長年の不倫の失恋、そこから立ち直る過程を描いた小説です。筆者独特の表現を追っているうちに、移動時間があっという間に過ぎました。こうゆう日本語の素敵さには癒し効果があると思います。この本は、借り物でしたがパリで日本語に餓えていたお友達の家に置いてきました。
貸してくれたお友達には、かわりに角田光代さんの本を2冊あげました。



「花芯」瀬戸内寂聴
大人になってから仲良くしているお友達二人が、筆者の小説や生き方本を好んで読んでいる。彼女らにはなんとなく女性的な一面で共通点があるなぁ、と思うのですが、本で繋がる身近な人たちのパーソナリティを分析するのはけっこう面白い。
このブログで本の感想を書くようになってから、明らかに人間関係に深みと広がりが出てきている気がします。
で、この「花芯」ですが、ゾッとするくらいの表現がたくさん出てきます。子供の頃、国語で「にくきもの」を読んだときに似た感じ。人間のナマな部分をこんな風に表現できる感受性に感服です。あとがきを書いている川上弘美さんもいくつか表現を抜粋していますが、私にとって印象的だったものをいくつか抜粋します。

<「ざくろ」から>
(今で言ういわゆる「だめんず」とのつきあいの描写で)
亮吉のつまらなさが、いくら日を逐ってはっきりしてきても、物の価値判断のどんでん返しになってしまった私にとっては、今更驚くことはないのでした。自分で描いた自分の誤解に、自分で気がつき、目が洗われてゆく自由さには、私なりの倫理が、案外整然と構成されているのでした。

<「花芯」から>
化学の女教師の声だった。醜い女にしばしば恵まれている、あのふっくらと甘やかな女らしい声を、この教師も持っていた。

<「花芯」から>
雨宮は、私の心の中の自分の影を、必死になってのぞきこもうとした。けれども私の心の中にあるたくさんの扉を叩いて、その部屋をのぞいてみようとはしなかった。

たぶんどれも「呆れる」とか「侮蔑」とかいう感情の場面だと思いますが、人の欲望を全面的に見せられたときに感じる独特の感覚の表現が、この筆者の感性であるのだなぁと思うのと同時に、それだけの感覚を持ってしまった人の現在の生きざまには、関心を持たずにはいられないわけなのであります。


よしもとばななさんの本への感想ログは「本棚」に置いてあります。

瀬戸内寂聴さんの本への感想ログも「本棚」に置いてあります。


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