うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

五輪書 宮本武蔵 著/渡辺一郎 校注

少し前に読んだ森鴎外の『阿部一族』に61歳(亡くなる一年前)の新免武蔵が登場していて、ずっと本棚にあったこの五輪書をはじめて読みました。
もとは兵法三十五箇条という覚書があり、それをさらに意図も含めて書かれたのが五輪書。構成が地水火風空(密教の五大)になっていて、こんな構成です。

  • 地之巻:自身の流(派)の概略と兵法について
  • 水之巻:二天一流と名付けた意図と、心の持ちよう
  • 火之巻:戦いと勝負のこと
  • 風之巻:ほかの流(派)と二天一流のこと
  • 空之巻:道理のこと

五輪塔の五輪の絵が表紙になっています。

構成をデザインする心があった人のようで、想像以上にいい意味で硬派ではないというか、柔軟性を感じる書物でした。

 

「水之巻」にはまるでヨガや仏教の所作・瞑想の心得のようなことが書かれており、「風之巻」はまるでシヴァ・サンヒターの第1章の序盤のように他派をリストアップして語る内容。解説に載っている「独行道」は断捨離ミニマリストの信条のよう。

そして読みながらこれは勉強になった思うフレーズもありました。君が代の歌詞の「さざれ石の巌」の ”いわお” は、兵法で「岩尾の身」という表現で出てくる。動かない強く大きな心という意味で、火之巻に出てきました。

 

ほかにも、世の中のことに詳しくなっておけという教えや、敵の身になってシミュレーションをすること、タイミングは早くても遅くてもいけないことなど、まるでマーケティングの本を読んでいるような気持ちにもなる。

とにかく流れるように柔軟にあらゆる空気を読み、かつ、先手を打つ人間であれという教え。

この五輪書を読むと、ものすごく剣の感覚の優れたプロフェッショナルというよりも、広く観察して信条を整理して手を打つヤリ手ジェネラリストに見える。

いい意味でイメージが刷新されました。

 

 

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