うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

マイ・インターン(映画)

2015年の映画です。おもしろくて3回観ました。

ヒューマン・ドラマとして重くならない最大限の工夫がされていて、そんな余裕がある爺さん、いるかーい!というくらい素敵なベン(ロバート・デ・ニーロ)と、一生懸命でキュートな社長・ジュールズ(アン・ハサウェイ)。そしてファッション&建物のおしゃれっぷりの裏に、ものすごーく勉強になる要素が織り込まれていました。

 

この映画はこの本を読んだ後に見ると、さらに楽しめます。

江副浩正社長とアン・ハサウェイ演じる女社長・ジュールズを重ねて観ると、ものすごく沁みる。


この映画は、スタートアップ企業が投資家の助言に応じるプロセスが話の筋に絡んでいます。助言は受け容れたいけれど、若い社長にはそれによって大きく狂いそうな私生活も含めたバランスがあって……、それをどう決断していくか。


社長を取り巻く人物の年齢・状況の設定が完璧に計算されていて、とにかく脚本が素晴らしい。こんなふうに社会問題を複合的に見せながらおしゃれなヒューマン・ドラマに仕上げていくって、どんな構成力!? と思うほど、リアリティと視覚的な楽しさのバランスが絶妙です。

 

この映画は年長者の人徳が若者の心を開いたというふうに見えるけれど、それだけじゃない。自我を張って踏ん張らなければバランスを崩してしまう、ギリギリのところで頑張っている人物の強みと弱点を知りながら、よくは知らない前提で役割に徹し、「協力者」に徹しようとする年長者の様子が泣ける。とにかく、わきまえるんですよね……。いじけも不貞腐れもぜず、斜に構える事もなくわきまえる。


若者がピンチの時に、事情通を気取ってここぞとばかりに腕まくりをすることのない姿勢を、わかりやすく素敵なロールモデルとして見せてもらえます。自分はこんなふうに年齢を重ねることができるだろうか。

従業員の服装と持ち物がトラディショナルなおしゃれに変化している様子からベンの影響力が伝わってきたり、出張帰りの二人が並んで歩く様子がいつの間にか会長&社長に見える雰囲気になっていたり、最後のジュールズの服装にさりげなく込められたリスタートの謙虚な気持ちもすごくいい。とにかく最高。

 

社内でマッサージのくだりやママ友の前で社長を褒めるのはやりすぎと思ったけど、この映画は日本では絶対に作れない設定の妙がいい。なんで日本では無理かは江副社長の伝記を読むとわかります。

ヒューマン・ドラマだけど商慣習エンター・テインメントにもなっていて、ものすごくおもしろい映画でした。