うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

文鳥 夏目漱石 著


小鳥の挙動ひとつひとつの軽やかさが、小鳥が首をかしげるときのあのかわいらしさが、小鳥の目の中をのぞきこんでも気持ちをとらえられなくて、んんんもぉぉぉおおおおう、でも、かわいいいいいいいいいいーーーーっ!!!!! となるときのあの感じが、とても美しく余分のない文章で描かれていて、鳴き声の描写なんて、とんでもないうまさです。作家ってすごい。うなる文章が続きます。続くんですけどね…。
「かわいい」「いとおしい」「気になる」という感情から連想することと、さらにそれを暗示のように使いながら女性の未来を案じる呪いは少し気持ち悪くておもしろい。なにこれ(笑)。自分のもとから去って行く女性の未来を不幸と思いたがる男性の気持ちって、いつもちょっと不思議。大丈夫だよ、よろしくやってるから。とは決していえないあの感じ。


なんてことはさておき。
かわいいもの、おいしいもの、たのしいもの。そういうものに没入した感覚を言葉に変える、この技術はうらやましい!
わたしにこの能力があったなら、ほんの些細なことでも気持ちが通ったと思えたその瞬間を培養して培養して培養して「やっと会えたね」の50倍くらい威力のある文字列の網に変えて、あちこちにそれを仕込んで、女ジゴロになって左うちわなのに。



Kindle 青空文庫

文鳥
文鳥
posted with amazlet at 18.02.27
(2012-09-27)


夏目漱石の本・映画などの感想まとめはこちら