うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

小泉放談 小泉今日子・対談集(宝島社文庫)


昨年の香川旅行中に時間つぶしのために入った書店で立ち読みをしたら気になって、しばらくしても気になって…。近所の書店で入手。
立ち読みした箇所は上野千鶴子さんとの対談だったのですが、ぜんぶ読んだら、たまたますごいところを読んでしまっていたようでした。
雑誌「GLOW」の連載をまとめたものなので女優さんや歌手のほかにファッション関係の人も登場して、さらには漫画家、作家、小池百合子さんまで登場します。
国民のほとんどが名を知っている有名人でありながらの抑制という面では、やはりキョンキョン壇蜜さんは格別だなぁと読みながら思いました。
上野千鶴子さん、芳村真理さん、湯山玲子さんの回がツボでした。樹木希林さんが一瞬ヨガの話題を持ち出すのだけど、あとで出てくる湯山玲子さんの身体論的恋愛論のようなものがそれ以上にヨガっぽくて、インパクトが上書きされてしまいました。


片桐はいりさんと小泉さんの言葉遣いに「呼んでもらって仕事が得られてきた」という考え方、女性の立ち回り方の作法がくっきり見えたのが印象的でした。
二人とも個性的に見えるけれど、この立場でこの場に長く居座るともう次に呼んでもらえなくなるということを当たり前にわきまえていて、そういうのは会社勤めのOLが長く同じ会社にいさせてもらうための方法と変わらないというか、そこは社会の中での女性の生存スキルなんだよな…としみじみ感じました。
終盤の回で湯山玲子さんがそれをばしっと要約していて、そして最終回で小池百合子氏、登場〜。どーん。という流れが、一冊を通して読むとなかなか興味深い展開です。


体調の変化について語っている人もいて、ほんとうに十人十色。わたしは40代前半ですが、すでに血のめぐりやメンタル面での変化を感じ始めています。それはたぶん毎日同じような練習をしていろいろな角度に身体を動かしたり食べるものが決まっているから変化に気づきやすいというのもあるのだけど、細かく見ていくとほんとうにいろいろあります。その感じを予告的に読めたのもよかった。
20代、30代、40代のそれぞれの振り返りがあって、読んでいるといまの人のほうが心配を前倒しでつかまえているような気もしました。芳村真理さんが40代になると…、と話していることは、いま30代の女性たちが悩んでいることのような気もして。


最初の対談のYOUさんとの会話にあった「別のコミューンの仲間を無理に会わせようとしない。つなげたがる人もいるけど、あえてつながない」の話は、心の中で首をぶんぶんタテに振りながら読みました。80年代にウェーイというムードの中で活躍してきた芸能人でありながら、つなぐことが目的化してしまう過程にある疲労のタネ(もうそれ、そんなにつないだら、仕事やん…てなる感じ)を、ないことにしない人たち。Win-Win(ウィン ウィン)とか絶対に言いそうにない感じがすてき。
このような、ちょっといい話聞いちゃったぞ。みたいなトピックもちょこちょこ出てきます。


小泉放談 (宝島社文庫)
小泉 今日子
宝島社 (2017-12-06)