まえに紹介した「山本七平の日本の歴史(上)」のなかにこんなことが書かれていて、ほんとうにそうだよなぁ、としみじみ思いました。
私が日本の歴史において、最も興味を感ずる対象は、北畠親房、新井白石、勝海舟といったタイプの人物である。いわば実務・行動と文筆を兼備した人びとである。行動だけの人間は、後代が勝手に再構成できる、また文筆だけの人間は、後代はこれを無視することができる。だが北畠親房型の人間は、無視もできねば再構成もできない。(151ページ)
いまは個人がいろいろなテキストを残すけど、「勝手に再構成されないように、意識的にやる」というのはすごく大切なことのように思います。
わたしはいつも「反省」や「感謝」などの言葉でクロージングする文章は簡単すぎるから、少しでも自分の中にある気持ちを固体化して持ち出そうと試みるのだけど、これがなかなかむずかしい。
ヨガをしている人だと思って読まれる背景に甘えて「感謝」とか書いておけば、それっぽくまとまる。まとまってしまう。だからこそ避けたい。
今日都内でヨガ講師をしている人がくれたメールに「言葉からパワーを感じる」と書いてあって、ほんとかよと思ったのだけど、もしかしたらこの本を読んでから、意識の芽が少し育ったのかもしれない。本はいろいろな行動の種を植えつけてくれる。
反省や感謝以外のことも、ちゃんと書けるように。というのが、ここ数年のわたしの心がけです。