これは昨年に読んだ本。「話したいことは確実にあるのに、うまくまとめられない」という状況の人が目の前にいるときに、どうやって待ったらいいものかしら… なんて考えることがあって読みました。
この本の終盤に「ああ、そうだ。この感じだ」と思うことが書いてありました。
ヒアリングというと「いかに効率よく情報を引っ張り出せるか」が注目されます。しかし、私はそうは考えません。ヒアリングでは、相手も意識していないことまで掘り下げなければいけないからです。思い出すまでに必ず時間がかかります。テクニックやノウハウを使って短時間で引き出すのは無理があります。
どちらかといえば「一緒に思い出す」という感覚が一番近いのではないでしょうか。
(「聞き出すより、一緒に思い出す」より)
わたしは「読書会」という名称でインド思想の勉強をする場をたまに設けているのですが、そこでは「さっきのかたのお話で思い出したのですが…」という現象が頻発します。なのでこの部分を読んで、「ああ、これだ…」と思いました。
特定の設定の中での会話というのは、急に深いところへ一緒にぐぐーっと潜っていくような感じになることがあります。
わたしはここ数年で「ひとりきりで自分の中に潜るというのは、実はすごくしんどいことなのだ」ということが身に沁みてわかるようになったのですが、時間をかけたほうがよいことって、あるんですよね。ここだけは合理化しちゃいけない気がしています。
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