太宰治の「グッド・バイ」という小説の舞台を見てきました。
たくさん笑いました。こらえられないタイプの笑いでした。
怪力、大食い、これが、しかし、全くのすごい美人なのだ。(原作より)
と紹介されるキヌ子役は小池栄子さん。出だしの「食べる演技」だけで、その世界へ連れて行かれる。
原作は「設定の面白さ」と「キヌ子の破壊的なダジャレ」で、電車では読めないほどのギャグ小説なのだけど、芝居はさらに五感に訴えてくるので「キヌ子のダミ声(原作では「鴉声/からすごえ」)」「キヌ子の美的センスの良さ(特に衣装!)」がリアルに迫ってくる。
未完の作品なので、あとはシナリオと演出で補完されていくのだけど、これがとにかくおもしろい。なかでも、妻役の水野美紀さんの身体表現がすごい。ものすごく地味なはずの役で、実際地味なたたずまいなのだけど、物語をググッと推し進めていく声の安定感と、必要な時にだけ繰り出される動きのキレのコントラストに感動。必要なときにサッと出せるのって、かっこいい。
内科と精神科を兼務しているかのような美人医師がいるのも面白いし、水原さん役を演じている「夏帆」さんの美しさにも感動。「真珠貝の中で育ちました。まだ外界に出てきて数年です」みたいなツヤと透明感。地味な性格の役柄なのにピカピカしてた。
原作は超短編(というか未完の絶筆作)なので、すぐ読み終えられます。
はげしくおすすめです。