先月の話ですが、神奈川近代文学館というところへ「生誕130年没後50年 『銀の匙』の作家 中勘助展」を観に行ってきました。(終わった展示の話です)「銀の匙」の感想は昨日書きました。
もともとは【常設展「文学の森へ 神奈川と作家たち」第1部 夏目漱石から萩原朔太郎まで】というのを見たくて、せっかくだから同じ建物でやっている企画展も観よう、と。
この展示を観に行ったときは「銀の匙」をまだ半分弱くらいしか読んでいなかったので「アンニュイなマセガキ?」という印象でいたのですが、さまざまな展示を観たらすっかりその世界に引き込まれ、大ファンになってしまいました。
いろいろな角度からこの作家さんのステキさを知ったのですが、もうこれは最初に書くしかないでしょう。
べらぼうに美男子!
以下パンフレットの写真より
きっと子供のころは尋常ではないかわいさであったことでしょう。
お兄さんにいじめられた原因とか、べらぼうに甘やかされた原因は、病弱というだけでなくここに負うところが多すぎると思うのですが! でも男性の場合は、あんまり美醜のことをいわないもののようですね。いまで言う「美人すぎる○○」なんてレベルではない端正さかと思うのだが…。
晩年もやばい。ダンディすぎる…。
もともと斉木しげるさんを「めちゃくちゃイケメン」のカテゴリ代表くらいに思っていたわたしにとって、中勘助さんのたたずまいはこれまでの常識・天井を突き破る衝撃。いっしょに展示を観にいったお嬢さんはたぶんシティ・ボーイズ世代ではないよなぁと思ったので、心の中で何度もひとりで「斉木しげるか!」とツッコミながら過ごしました。
グルジといっしょに映っている集合写真もあって、
右肩の上に青い文字で
中 ⇒ 中勘助さま
岩 ⇒ 岩元禎さま(参考:広田先生のモデル説のあるお方)
ぐ ⇒ 夏目漱石グルジ
サージェント・ペパーのジャケットにヨギが居すぎですが! と思うのと同じくらい興奮しました。
いっしょに観にいったお嬢さんは、
「うちこさん! ちょ、この、
夏目漱石のヒゲ www つけヒゲじゃないですよね」
と腹筋が崩壊しそうな勢いで笑っておられました。
このヒゲを見ると、さまざまな作品の「髭剃りシーン」も味わい深くなってきます(とくに「草枕」「琴のそら音」)。
はじめは、(失礼な…)と思っていたわたしも、その写真を見て一瞬で
「ルイージ! www」
と、決してマリオではないそのヒゲの形とボリュームに息を呑みました。
なんて話はさておき。
「銀の匙」は夏目漱石の「行人」のあとに夏目漱石の推薦により新聞連載になった作品で、そのいきさつや調整の手紙などが展示されていたのも興味深いところでした。その手紙の数々を見て、
夏目漱石グルジ、めっちゃ編集者として調整してる!
という仕事ぶりに驚きました。
あてにしていた作家に断られたり、中勘助さんに誤字脱字やペンネームのことで助言したり面倒をみたり、推薦文を書いたり。
めちゃくちゃ、仕事してる!
ということにとにかく驚きました。自身があれだけの文学を研究して小説も書きながら、こんな仕事してたの?!
とにかく驚きました。この才能ありまくりの爆発的イケメンを、惜しげない愛で育てる夏目漱石さん。
まるでびべたんを育てるラーマクリシュナみたい!
しかも、推薦ポイントがしびれる。
普通の小説としては事件がないから
俗物は褒めないかもしれません
私は大変好きです
って!
なにこの褒めかた。ステキすぎる。
しかもペンネームも、どんだけきめ細かいSEOコンサルタントですかっつうくらい、綴りのバリエーションをアドバイスしてる…。
結局、夏目漱石さんにさらに惚れて帰ってきました。
ちなみにわたしよりヤングな文学好きのお嬢さんは、
常設展「文学の森へ 神奈川と作家たち」第1部 夏目漱石から萩原朔太郎までを観て
「ヤバイこの人、朔ちゃん、かっこよすぎる。好きになりそう」
と言っていました。大詩人さんですよ!
へー。と思いました。(わたしはすでに中勘助さんしか見えないモードになっていた)
今日の話はなんにもまとまりませんが、「中勘助さんと夏目漱石さんは、びべたんとラマクリたんのようであった」ということだけ、ヨギのみなさんにざっくり記憶していただければ幸いです。