今年の春に読んた「道草」を最後に夏目漱石の長編・中編をすべて読んでしまったので、ここに本棚的リンク集としてまとめておきます。
わたしは30代半ばまで夏目漱石の小説を読んだことがなく、そもそも小説がほとんど読めませんでした。(江戸川乱歩と星新一だけは読めました)
いまはたくさん本を読んでいるイメージがあるかもしれませんが、30代前半は読んでいた本のほとんどが技術書、ノウハウ本、メンタル励ます系、あるいは骨・筋肉・内臓の関連書籍。
そんななか、何年もインド思想周辺をぐるぐるするなかでふと2008年に読んだこの記述が気になり、夏目漱石のことがずっと気になっていました。
サーンキヤ学派のこの<三苦>の思想は夏目漱石の『草枕』に影響しているという見解があるが、なお検討を要する。
(ヨーガとサーンキヤの思想―インド六派哲学 中村元選集 決定版 より)
それから7年後になんとなく小説を読み始めたのでした。その頃は、わたしがちょうどインドで学んできたことの整理を終えたばかりで、「心のはたらき」についての言葉の感覚が鋭くなっていた時期でした。そんな時に読んだので、夢中になりました。
「ドーシャを"情調"って訳してる!」「瞑想と冥想を書き分けてる!」と、そもそも日本人が日本語で書いた小説なのに、これはどういうことになっているのかと驚きました。そこからは「うわー、ラジャシックな嫌儲とタマシックな嫌儲の違いをこの文字数でまとめてる!」とか、読むたびに感動の嵐。物語そのものよりも、わたしがよくサンスクリット語ならひとことで済むものを日本語ではむずかしい…と考えるさまざまなこと(参考)を、漱石グルジはしっかり日本語で言語化している。そのことに驚きました。
前置きが長いですね。以下は、過去に紹介した本のリンク集です。
▼中編・長編・エッセイ集 書かれた順で(リンク先はわたしの感想です)
- 吾輩は猫である
- 琴のそら音
- 趣味の遺伝
- 坊っちゃん
- 草枕(1回目に読んだ感想)(2回目に読んだ感想)
- 二百十日
- 野分
- 虞美人草
- 坑夫
- 文鳥
- 三四郎
- 夢十夜
- 永日小品
- それから
- 門
- 彼岸過迄
- 行人(1回目に読んだ感想)(2回目に読んだ感想)
- こゝろ
- 硝子戸の中
- 道草
- 明暗
▼短編
▼トークライブの書き起こし
▼映画・演劇
▼そのほか
- 漱石の心的世界 ―「甘え」による作品分析 土居健郎 著
- 漱石文学の思想 第二部 自己本位の文学 今西順吉 著
- ヨーガとサーンキヤの思想―インド六派哲学 中村元選集 決定版
- 偉大なる暗闇 高橋英夫 著(「三四郎」の広田先生のモデル説がある人物・岩元禎を追ってみた、という本)
▼わたしのちょっと変態的なあれこれ