昨年の終盤をリシケシで過ごしていたのですが、そこでまた「Tattvaa Yogashala」の親方と付き人君のお世話になりました。
わたしが親方と呼んでいるカマルさんは、独自の身体観・身体論がある人。方向性としては背骨オタク。親方から「スーパー・サイレント」と言われるくらい、わたしはリシケシにいてもあまり親方と話をしませんが、基本的に必要なときだけ話せばいい、接しやすい人です。
たまに話すことと言っても、たとえばアーサナ中に誰かの骨が小さく鳴ったとき
親方:いまの、聞こえたか
うちこ:ええ
親方:どこだ
うちこ:ここです(指差す)
親方:フッフーン
うちこ:(また特に答えなし、ですか……)
ベテラン刑事と新人刑事のような会話です。
親方と、付き人のディー君。ディー君は道場の鍵の管理やレッスン時間の告知、掃除などなんでもこなす働き者。
親方は気まぐれによくスケジュールを変えるので、ホワイトボードでの告知が命。こういうのをしょっちゅう書き変えなければいけないのですが、ディー君はこれがとても苦手なのだそう。わたしはホワイトボードが大好きなので、お手伝いをすることにしました。
地図を加えたり、表組みや似顔絵を加えてみたり。
ディー君はわたしが手描きで表組みの告知を作ると、翌日の朝稽古中にパソコンのエクセルで再現して、でもデザインに自信がないということで、稽古の後に「うちこ、これどう?」といってアドバイスを求めてくる。親方は「バランス」にうるさいからね。それにしてもこんな向上心のある子、リシケシにはなかなかいないよ(笑)。
ほんと、親方はすばらしい青年をみつけたな、と思います。
そして、親方はもっとすごかった。
「お! そのテがあったか。じゃあ、次はこれを描いて」
パソコンで作ろうとすらしない。
何度も描かせて、都度写真に残して、それをネットの告知にそのまま使う。たしかにこれがいちばん速い。その何度も描かせる徹底ぶりに「グルになる人の才覚」を感じました(愚痴ではないよ・笑)。
「うちこはさっきからずっと描いてばっかりで、練習に参加できてないよ〜」と周りの生徒さんが口を挟んでくれたりするのだけど、わたしもなんというか、ここのバランスをちょっとこうして欲しいとか、そういう細かい指示を我慢して欲しくないと思ったりするのです。請負魂っていうの? 文字列的にかっこよくないけど、でもまあそう。
親方は遠慮がないように見えて、わたしが描く親方の似顔絵をディー君が「わーい! これ最高だよ!」と爆笑していると、本人は気に入っていなくても我慢します。あとで「なんで怒った顔にそんなフキダシ入れるんだよ〜 スマイルのやつ描けよ〜」とこっそり文句を言ってきたりしますが、その似顔絵をディー君が喜んでいるのを見て、その場では部下のガス抜きを見守っている。大人になったじゃん親方!
親方の友人の息子さんの誕生日に、生徒さんが粘土のおもちゃをプレゼントしたときは、流れで「粘土先生」もやりました…。
粘土ってのはね、こんなことができるんだよ〜、というのを2歳くらいの息子さんに見せたのだけど、このときも親方は「それは誰だ? おれか? だったら肩がこう、中で……」と口を出してくる。自分で手を動かして作れたら作りたいのだろうけど、もどかしいのでしょう。
さすがにこのときは、わたしの中のインナー・チャイルドが「出来あがったものをアジャストすりゃあいいじゃんよ。このアジャスト・オタクめ!」と叫び声をあげました(愚痴ではないのですよ、愚痴では)。
親方はいつも「身体について多様性を踏まえて考え続けること」を、何歩も先を歩いて示してくれます。動作の細かい部分で3年前とは示唆の仕方が変わっていたり、ポリシーの裏づけがより深く厚いものになっていたのも興味深かった。久々に会いましたが、あいかわらず進化し続ける師でありました。
<ぷち外伝>
ここに通っている間、Cafeおかえりのみちこさんも来てくれました。
でも仕事はしっかりやる、って話は以前書いたとおり。
最後に。
「Tattvaa Yogashala」でも「ラジェンドラ・ヨガセンター」でも、日本人の旅人さんから「ブログの人だ〜!」と言われて味噌汁やお菓子をもらえたり、うれしいことがたくさんありました。(猿か!・笑)
いちいち名乗らぬゆきずりの出会いも多かったので、この場で感謝の意を申し上げます。ごちそうさまでした。
追記:2019年の様子はこちら
uchikoyoga.hatenablog.com