うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ポリコレ棒を振り回し、身内の内情を暴露する。芥川龍之介による週刊文春的な「猿蟹合戦」「桃太郎」

あの立場のかたのお気持ち、この立場のかたのお気持ち。

四方八方のお気持ちに配慮したらなにも言うことがなくなる世の中で、最強のお気持ちは無敵の人だけが持っている。

いったいなんてこった。

 

 

わたしの立場は、わたしの視点は、わたしの心の味覚はどこに。ああ味気ない。だのに肉体と五感を持っている。

いや待てよ。感覚を起動させる場面がないのは理想じゃないの? あなた、ヨガをしているのでしょう? いやいやいや。自分で制御するのがヨガだから。なんなのこれは。

もう訳がわからなくなってきた。

 

 

四方八方のお気持ちに配慮する先回り。気が利くネェ、なんて褒められちゃう。評価はメキメキ一時的にうなぎ昇り。摩擦を事前に吸収すべく考えているうちに心がツルツルのタイヤになって、生活にグリップ感がなくなっていく。歩いているのか走っているのか滑っているのか。自分のかける力と地面の摩擦係数が感覚的につかめない。

 

 

そんな混乱と混沌の世間を生きるわたしに、自分で自分に読み聞かせたくなる昔話を読みました。

友人が「芥川龍之介の書いた桃太郎が面白かったよ〜」と教えてくれました。これが実際面白く、「猿蟹合戦」と「かちかち山」も読みました。

そもそもどんな話だったっけ? と、子ども向けのYoutube版昔話でおさらいしてから読みました。

 

 

なかでも「猿蟹合戦」と「桃太郎」は、もしも週刊文春が昔話を暴いたら・・・とでもいうような内容で、よくもまあこんな話を書くものだと驚きます。作家ってすごい。

あの立場のかたのお気持ち、この立場のかたのお気持ち。一生やってろ暇人め。こういうお気持ちだってあるんだぞ。

傷つきたくない。ふむふむ、なるほどですね~。だったらChatGPTと話していればいいじゃないか。こっち見なくていいよ。わざわざ見にこなくていいよ。

現代に置き換えるとそんな感じであろうお気持ちが物語に昇華され、ユーモラスに綴られています。芥川龍之介の正直さが炸裂していました。正直であるための技術がすごい。

なんてかわいらしい人なんだ。

 

 

いずれも青空文庫ですぐに読めちゃう短編です。