うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

初雪 ギ・ド モーパッサン 著 / 秋田滋 (翻訳)


イプセンと似たようなことを扱っているのだろうかと思うこともあるのだけど、どうにも違う印象を受けるモーパッサン
こんな小説を男性が書いているのが、なんか不思議。女性の病的なメンタルへの憑依のしかたは太宰治のようでもあるけれど、こういう勢いは、わたしはコントのキャラクターでしかみたことがなかった。
わたしが中高生くらいのときに、「夢で逢えたら」というコントの番組がありました。そのなかに清水ミチコさんが演じる「ミドリ」という役の女性がいたのですが、この「初雪」を読みながら、以前ミドリが放ったこんなセリフを思い出しました。



 わたし、嫌がらせのためなら死ねるわよ



わたしはいつまでたってもコントのセリフを覚えていることがあって、20年以上経っていても、こうしてふと思い出します。
嫌がらせのためなら喜んで死にそうなほど、人を困らせるのが好きそうに見えるミドリは、すごくブサイクという設定。ムカツクを「ムカトゥク」と発音し、喋り方も異様です。
ミドリと周辺の人の対応を見て「笑っていいのかこれ」という思いが一瞬ありつつも、圧倒的に笑う。ミドリは恋をしている女性。そして、それ以上にナマナマしい人間。
モーパッサンの小説を読んでいると、「怒っていいのかこれ」「悲しんでいいのかこれ」という思いが一瞬ありつつ…、「待てよ」という心のはたらきが誘発されます。こういう違和感をスルーしないことを、わたしは意識の筋トレのように捉えています。


Kindle版が青空文庫で出ています

初雪
初雪
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(2012-10-04)