ヨガの橋のポーズ(セツバンダ・アーサナ)は定番なのでやったことがある人も多いと思うのですが、この春からわたしはハタ・ヨーガのクラスで段階を作って進めるようにしています。
わたしのヨガ歴はこのブログの年数+2年くらいです。
20年もすると社会も大きく変わり、このブログを書き始めた頃は他人の見える場所で日記の文章を公開している一般庶民を訝しがる人もいたものです。
それが今となっては、巷の誰かの人生訓・経験談がポエムや画像とともにSNS上にあふれ、それを頭の中で揶揄するマインドのほうが意地悪とみなされるまでに価値観が逆転しました。
ただよくよく表現を読んでみると、ほとんどは他人の物語の自分バージョンでの焼き直し。自分の中から掘り起こした深部を言語化する人はわずかです。
そのくらい、多くの人がオリジナルの自己を置き去りにしたままコミュニケーションをとっています。
ヨガでは表現と創造の根源を分けて考える
ヨガにはチャクラという概念があって、身体内にそのエネルギーを司る場所が定義されているのですが、表現(コミュニケーション)と創造(クリエイション)は位置が離れています。
クリエイションは骨盤、コミュニケーションは喉・首です。思考は頭・目の奥です。
創造は下部から起こり表現は上部で作られる、その中間にハートがあるという考え方です。
脚を使った立位のポーズやスクワットのような動きをすると、骨盤の内部と周辺が刺激され、元気が出ます。運動不足の人にはちょっとしんどいかもしれません。
頭で作り出したことを自分の根源から生まれたものだと勘違いする、そういうことを避けるために組まれている段取りとして、まずは下から活性化させていきます。
「すっきりした」という状態すらも頭だけで一時的には作り出せてしまうから。
頭で作り出したことに縛られないように
頭で作り出した世界に長くいると精神が狭い世界にはまり込むので、全身を動かすヨガは良いものです。
全身の動かしたあとで頭のスイッチをオフできると、普段から思考をやめられない脳をお休みさせることができます。
思考をやめられない脳がやっていることには、「こうしたらどうだろう、ああしたらどうだろう」というアイデアや、「でも、でも、だって・・・」という自己弁護がありますが、前者でも後者でも外部からの情報を自分で考えたかのように組み合わせているだけってことがほとんどです。
これを停止しないと、創造が起こらないまま思考と表現だけが走る、その状態に侵食された状態が長くなってしまいます。
わたしはこの状態で加齢していくことの苦しみについて真剣に考えるきっかけがあって、中年期のヨガでのアプローチ・テーマとして、後頭部の深部をほぐすメニューを多く取り入れることにしました。
セツバンダ・アーサナ 橋のポーズをふたつ
セツバンダ・アーサナは穏やかな後屈のポーズとして多くのヨガクラスに取り入れられています。
感覚的に肩の前側と胸が開き、お尻の筋肉が締まるので、そこにフォーカスされることが多いです。現在のわたしはその橋を2種類やっています。
長い橋 高い橋
この順番で、内観をおすすめしています。
首の後ろと後頭部をつなぐ「頭板状筋」にじっくりアプローチできます。
お腹を薄くして呼吸する「長い橋」
文章だけでは分かりにくいと思うので、スケキヨさんにポーズをとってもらいました。
これが、「ながい橋」です。
「長さ」を意識することで、首の下のほうから順にアプローチします。
膝頭から胸までが長い橋になるイメージでやる。
デスクワーク中に気づくと猫背で顎を出して仕事をしている人は首の後ろが縮んでいるので、下のほうからゆっくりいきましょう。
★この「長い橋」の時は、お腹を薄くする意識でやさしく呼吸するとよいです。
胸を厚くして呼吸する「高い橋」
この高い橋は、肩甲骨を寄せて胸が開くととても気持ちが良いので、ヨガの終盤で身体がゴキゲンなモードに入っていると、胸を厚くするような呼吸をすると元気が出ます。
ヨガクラスの終盤になると脚も少し鍛えられていて余計な思考がほぐれ、自然にそうなりやすいため、後屈のポーズはヨガの終盤に行われることが多いです。
あごを引くのではなく、胸があごに迫ってくるという関係性を意識すると、より頭蓋骨に近いところへじわじわ効かせることができます。
(頭皮を固くせずに行うために、頭以外のところへ意識を向けます)
★この「高い橋」の時は、胸の上部を厚くする意識で少し勇ましく呼吸すると、喉の浄化にもよいです。
このポーズに入る前に「長い橋」をウォーミング・アップとしてやっておくと、頭蓋骨の下部と首をつなぐ「頭半棘筋」へ少しずつ影響範囲を広げていくことができます。
おさらい
◆呼吸
- 長い橋:お腹を薄くする呼吸
- 高い橋:胸を厚くする呼吸
◆手
- 長い橋:手のひらを床にぺったり置いて中指を長く感じる
- 高い橋:お尻の下で両手をにぎり合う
◆頭
- 長い橋:首の後ろ側をのっぺり長く伸ばす
- 高い橋:胸があごに迫り来るのを感じながら後頭部を開く
◇結果としての足の裏
- 長い橋:足の裏の外側に体重が逃げにくい
- 高い橋:足の裏の外側に体重が逃げやすい
ヨガのポーズは効かせたいところの優先順位・文脈によってガイドのしかたが変わってくるので、この目的の場合は足の裏や膝の感覚はあんまり強く意識しなくて良いように優先順位を下げています。
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現在はインターネットが市民の生活上当たり前になって20年以上となり、スマホが多くの世代に普及して10年以上になります。国際電話も固定電話も必要なくなり、以前はワールド・ニュースは有能なジャーナリストが伝えてくれるものだと思っていたけれど、それ以前にライブ感のある現場の情報がどんどん入ってきて、説明が後付けになる時代です。
外部から脈絡なく情報があふれるなか、自分の内側からのクリエイションとコミュニケーションを統合する作業を意識しないままでいると、そりゃ混乱もする。
頭が過剰でこのままだと元気が湧いてこないよ~と思ったら、ヨガの終盤でぜひこの2段階「長い橋」→「高い橋」を取り入れてみてください。
効果効能というよりも、時代的にこういうアプローチが必要な気がしています。
(本編は以上です)
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<わたしからのお知らせ>
今日の内容は、東京でわたしがガイドする夜のヨガクラスのコンセプトを分解したものです。
東日本橋・人形町・浜町から近いスタジオでヨガクラスを開催しています。
ヨガをはじめてみたい人、ヨガおもしろそうと思った人、もっと好きになりたい人はどうぞご参加ください。
(ここでやってみたことを、寝る前のストレッチに取り入れてみて〜☆)
175センチくらいの人も、のびのーび動けます。
(こうやって高さを測っています)