みなさんは、ヨガのポーズの最中に、そのポーズが導いてくれる「気分」に酔いしれたことはありますか?
わたしはかなり積極的に入り込むタイプです。
なかでも、戦士のポーズ1(ヴィーラ・バドラ・アーサナA)は、ポーズの中のあちこちに矛盾がありつつ、それでも前を向いて立ち向かう。複雑さを抱えた強さが好きです。
なんなら腕を上げて、脇腹を見せて「好きに斬ってきやがれ!」くらいの勇気。
そして内面的には、
このポーズの魅力は、なんといっても「矛盾」です。
ちょっと、そこの左の人!
絶対それ邪魔でしょ。その頭にかぶってるやつ! そのカブト!
聖子ちゃんカットみたいなサイドの防御の堅いやつ、腕の内側に挟んでるでしょ!
腕が伸ばせないでしょうがーーー!
と、壮大な矛盾がありますよね。
本当はできてないでしょ!
━━というのは、冗談で。
アタクシこの冗談ひとつのために、わざわざ絵を描きました。
ここまでは、長い長い、本編と関係のないアイスブレイクです。
本当の矛盾は、うしろ脚
今日の本題はここからです。前置きが長すぎますね。
ヨガはインドのものですから、右のほうの人を見てください。
つるーんとしたヘルメットみたいなやつに、ぴーんと腕を添えるわけですから、なんならちょっとヒンヤリして、気持ち良さそうです。インドは暑いですからね。
━━という話ではなくて!
このアーサナは前を向きながら、後ろ脚はカカトまでしっかり大地を踏みしめている。
この後ろ脚に大きな矛盾を抱えています。
ここがしっかりやれるようになるまでには、かなり時間がかかります。
カカトを床につけて足の裏で大地を踏みしめ、なおかつ土踏まずを引き上げるほどの感覚までいくには、かなり足首の後ろが伸びないといけないし、腓腹筋&ヒラメ筋のコンビも伸びないとできません。
踏みしめながら縮めるよりも、踏みしめながら伸ばすほうがむずかしい。
ふくらはぎが硬い日には特にうまくいかない、しっくりいかない。そういうポーズです。
まあでもそれはね、続けていくうちに、柔らかくなります。
このポーズはそれよりも、矛盾を抱えながら前を向いているその状態がすばらしい。
このポーズがうまく取れている瞬間に勇気が湧いてくるのは、一筋縄ではいかない状況でも前を向いて、自分の仕事に取り組むことができる、そういう種類の強さ。
勢いだけの勇ましさじゃない、大人の強さです。
脚で支えて骨盤を正面に向けるために、ふくらはぎと足首の柔らかさが求められる。
肩に力は入れず、胸はゆったり、優雅に。
このポーズができるようになる頃には座位のポーズでも安定して座れるようになり、瞑想中に胸と頭はくつろいでいながら下半身は安定する、そういう土台作りにつながります。
・・・と、まじめに説明しようとすると、こういうふうになったりしますが。
練習中のわたしの意識は、最初に一瞬左の人を思い浮かべてしまった後に、「こっちじゃない!」とセルフツッコミをする面倒な手順を踏んでいます。
頭の中のことは、黙っていればわからないしね。
(たまに漏れてるようですが・・・)