うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

図説中村天風


今ごろになって中村天風さんの説いた「人に好かれる人間になること」について考える瞬間が増えています。何年か前に中村天風さんの本を読んだ頃は自分がまだヨガをはじめたばかりで、力強い言葉がシンプルに響いていました。
それから何年かヨガを続けて、自分が力強い言葉に反応した背後になにがあったのか、自身のどろりとしたマグマのようなものに少しずつ目を向けられるようになってきたように思います。そして考えは一周し「それでもなお "人に好かれる人間になること" を説いた」という観点から、あらためて中村天風さんが気になる。


話は横道にそれるのですが、、今年わたしはいろいろなヨガイベントへ行って「見た目のメッセージ性」について考える機会を多く得ました。この過程でふと、中村天風さんはものすごくビジュアル的にイケてたのではないかという思いが浮かびました。
そんなこんなで確認するように手にした、写真の多い図説。
ぺらぺらと開いてみれば



 イケメンどころじゃない。
 俳優の玉木宏さんと似た顔の写真もある。
 めちゃくちゃ頭が小さい。脚も長くて腰の位置も高い。
 ファッションセンスも抜群。



やっぱりか。と思いました。
じゃなきゃ、宇野千代さんは納得しないだろ…と思ったのです。どんなにいい感じのことを言っていても、そこがダメだと話を聞こうという気持ちにならないのではないかと。弟子基準で見た場合に、あの審美眼にかなうグルがイケてないわけがない、と。
言葉だけではない、視覚にアプローチする圧倒的なメッセージの力に撃沈。写真を見ると、道場の女性たちは真っ白でエレガントなワンピース姿で呼吸法の練習をしています。なんとこれが、たいへんかわいらしいのです!
男性は白のハーフパンツ。ふんどしではありません。運動場での「安定打座法」の写真などは、ウトカタ・アーサナをする種田選手(ガニマタ打法の人)の集団のようでなかなか迫力がありますが、なんというか、カルトっぽい道場の映像を観るときに感じるようなビジュアルではなく、こじゃれてる。


歴史の面では頭山満ラス・ビハリ・ボースとの交流なども興味深かったのですが(この時代の参考書はこちら)、現代のように趣味趣向思想が細分化していなかった日本で、ヨガのメソッドでああいう骨太なメッセージを最初に打ち出せたムーブメントの背景を、写真と共に追うことができます。
そこにあるだけで鈍くさいムードを創り出す「野暮ったさ」に対して目を背けずにいるのは案外むずかしいもので、こういう気持ちの存在に、わたしは今ごろやっと目を向けられるようになってきたのかもしれません。
天風先生は「すてきな存在であろう」という気持ちの大切さを説かれていたのだろうな、とあらためて思います。



中村天風さんのほかの本の紹介はこちら