うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

対岸の彼女 角田光代 著


「私たちはなんのために歳を重ねるんだろう。」

終盤で確認するように何度かくりかえされるこの言葉が、ネガティブに響いたりポジティブに響いたりする。


この本の背表紙の解説は、こんなテキスト。

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。

という作品なのだけど、わたしはこの本を読んで「不良」という言葉には、たわみがあるのだということに気がついた。
悪生徒でも悪少女でもなく、不良という状態。



前半の、都会から田舎に引っ越してきたお母さんが記憶のすりかえをするところで、胸が痛くなる。これは、きつい。
「悪く、ない」くらいのところでうまく折り合って生きていければいいんじゃないのと、心が穏やかなときには思えるけれど、妙な正義感や向上心に火をつけて誰かを悪者にする女たちの図は、わたしがたまに思う



 おばさんって、もっと大人だと思っていた



という状況に似ている。
中三って、もっと大人だと思っていた。と、中一の自分を思いだしながら思うように、おばさんになってもそう思う。そしてそれはおばあちゃんになっても、あまり変わらないのだろう。
その痛みを立ち直りのアイテムにするか、拒絶の理由にするかはこれまた気分次第。
でも、女同士って、楽しいんだよなぁ。やっぱり。ホモソーシャルの女版みたいなやつ。


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