うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

「サハナー・ヴァヴァトゥ」と「回向文(廻向文)」

サハナー・ヴァヴァトゥ
今日は大好きなマントラ「sahana-vavatu」について書いてみようと思います。
もともとはじめにわたしがマントラに馴染んだのは、日本の真言です。インドのヨーガに造詣の深い人でも、幼い頃まで紐解くと、仏教の「南無阿弥陀仏」のほうが先に覚えたという人の方が多いのではないでしょうか。

ヨガを始めてから、アシュタンガをやったりインドへ行ったりもしてサンスクリットマントラも知ってはいますが、日本で真言宗のお寺へ参拝に行けば「南無大師遍照金剛」だったり「のーまくさーまんだーばーざらだんせんだーまーかろしゃーだーそわたやうんたらたかんまん」をよく唱えます。


今日は、数あるサンスクリットマントラの中で最も好きな「サハナー・ヴァヴァトゥ」と、お寺で読経するときに出てくる「回向文」がよく似ている件について。
せっかくなので、一緒にお勉強する感じで書きます。
このマントラはもともと、英訳を読んで好きになりました。今日はテキストを複数使ってその魅力をご紹介したいと思います。

om sahana-vavatu
shahanau bhunaktu
sahaviryan-karavavahai
tejasvina-vadhi-tamastu ma vidvisavahai
om santih santih santih

(Parmarth Yoga & Meditation Centre の「Prayers & Mantras」テキストより)



オーム サハ ナーヴァヴァトゥ 
サハ ナウ ブナクトゥ
サハ ビーリャム カラバーバハイ
テージャスビ ナービディータマストゥ
マー ビドビシャービハイ
オーム シャーンティ シャーンティ シャーンティヒー

ディバインライフ・ソサエティの修行について紹介されている「ヨーガとからだの科学」より)

こんなマントラで、「ヨーガとからだの科学」では、「ヨーガ・アーサナを始める前に唱える祈り」として紹介されていました。
美しいシタールの音色とあわせて聴けるものが、ビートルズジョージ・ハリスンがプロデュースしたRavi Shankar(ラヴィ・シャンカール)さんの「Chants Of India」の5曲目に収録されています。


訳は、「ヨガ仕様」のものとそうでないものがあります。3つの日本語訳を紹介してみましょう。


まずは、「ヨーガとからだの科学」にあった訳

オーム、神よ、われわれヨーガを教えるものと習う者をお守りください
そしてわれわれ双方が神のご加護を喜んでうけられますように
神のお導きで、聖典の真の意味を理解できますように
われわれの修行がキラキラと輝きますように
われわれの間に、いさかいが起こりませんように
オーム、平和であれ、平和であれ、平和であれ

神聖な気持ちでヨガをする人向けの日本語です。




次に、インドで出会ったゆりえちゃんとお茶をしたときに彼女のノートを写させてもらった、なにかに載っていた訳。

私たちヨガにたずさわる者をお守りください
私たちが天の恵みを受けて成長できますように
私たちが聖典の真意を理解できますように
私たちの修行が光り輝き実を結びますように
私たちの間に争いが起こりませんように
穏やかに 平和でありますように
平和でありますように。平和でありますように

修行の実りと平和が紐づけられています。



次は、、ある意味プレーンな訳。先に紹介したラヴィ・シャンカールさんの「Chants Of India」のライナーから。

神よ、われをともに護りたまえ
われらをともに養いたまえ
われらともに力合わせて
人の善のため働かしめたまえ
われらの学びを光ある意味深きものとなしたまえ
われらを憎み合うことなからしめたまえ
平和あれ、平和あれ、全き平和あれ

より日常的な仕事に生かせる感じがしませんか。




冒頭で「このマントラはもともと、英訳を読んで好きになりました。」と書いたのですが、ここで、Parmarth Yoga & Meditation Centre の「Prayers & Mantras」テキストの英訳をぜひご紹介したいです。

May He protect both of us.
May He indeed nourish us.
May we perform wonderful feats in our endeavor.
May our brains be sharpened.
May we have no disharmony and conflict.
Om Peace! Peace! Peace!

あまり英語がよくわからないわたしでも、辞書なしで「これはとても普段の仕事への取り組みを照らしてくれそうな、OLのわたしにとってもよいカルマ・ヨーガ・マントラっぽいぞ!」と瞬時に思いました。



とくに、
「May our brains be sharpened.」
「May we have no disharmony and conflict.」のところが刺さります。

disharmony と conflict が正しい判断を歪ませ、brains が not sharpened になってしまうダークサイドへのトラップに陥らないために。
ヨーガの教えを英訳したものって、普通に英語を勉強したのではあまり出てこないような「disharmony」とか、実は使える英語が学べるのがいいですよね。




そして読めば読むほど似ているのが、お寺で唱える真言宗の廻向文(回向文)。

願わくは此の功徳を以[もっ]て、
普[あまね]く一切に及ぼし、
我等[われら]と衆生[しゅじょう]と、
皆共に仏道を成[じょう]ぜん(ことを)

(参考:真言宗のお経(在家勤行式解説) 廻向文

大げさではないこのコンパクトさ!



ちなみに廻向文のほうは、勤行・法要などの終わりに称えるとされている(Wiki参照)ので、「サハナー・ヴァヴァトゥ」とは逆です。「サハナー・ヴァヴァトゥ」をはじめに、「廻向文」を終わりに唱えたらいいですね。


ヨーガの意訳は独特の世界観をかもし出すので、まずはシンプルに理解してみたほうが日常に生かせる気がしています。